「既存のボクシングファンをABEMAに」 プロモーター・亀田興毅が描く業界再興の道筋
目先のやるべきこととは「まずはボクシングファンをまとめること」
最近では他の格闘技も話題を集めている。その一つが総合格闘技イベント「Breaking Down」。様々な競技経験者が集まり、「1分1ラウンド」で勝敗を決める。亀田氏は「(ボクシングと)一線を画すというか、そもそも比べるものじゃない」としつつ、「こっちはスポーツ」と強調する。
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「格闘技ファンのライト層を取り込んだという意味ではBreaking Down、RIZINの発信力は素晴らしいと思います。否定どころかボクシング界も多かれ少なかれ、おこぼれにありついている部分があるかと思います。こちらが優れていて、向こうが劣っているという論議ではなく、野球選手とサッカー選手を比べるようなもんであり、根本が違います。
だってオリンピック競技ですよ。高校、大学にボクシング部があるんですよ。他の格闘技はないじゃないですか。こっちはスポーツですし、JBCというコミッションがあるので、ルールを無視したSNSによる『バズり』という過激なPRには制限がかかる。だからスポーツとして王道を貫こうと。でも、そこを理解していない人たちがほとんどなんですよね」
格闘技に詳しくないライト層にとって、違いは認知されていない。ボクシングはWBA、WBC、IBF、WBOの4団体が世界で統括しており、基本的なルールが統一されている。競技人口、伝統においても異なる。正攻法でボクシングの魅力を伝えても、「だから?ってなるんですよ。王道を貫くのは難しい」と苦慮。「だから、新しいものを取り入れています。これが温故知新です」と変化を加えることに邁進している。
「いろんな切り口で魅力を伝えていかないといけない。まずはボクシングファンをまとめること。今すぐ目先でやらないといけないことは若い人たちにボクシングファンになってもらうこと、それはZ世代にうまくリーチすることで、この子たちに『ボクシングって知ってる?』というところから始めていく。そこから取り込んでいきたい。既存のボクシングファンの方に3150FIGHTを知ってもらうことと同時にしないといけないけど、これがすごく難しい。すごい難しいけど、これが1回ぐるっと回ったら早いですよ。ちゃんとしたボクシングというモノがあるから」
――Z世代にボクシングの魅力を伝える時、例えば何と言えば伝わると思いますか。
「わからないです。わからんから聞きに行く。それがシンプルだと思うんですよ」
――普段、交流する場はあるのでしょうか。
「つくる。なかったら、つくればいいじゃないですか。今は人手が足りず、まだこっちが追いついていないだけ。まずは、ボクシングファンはどれだけいるのかっていう分析から入っていかないと。まずは、その人たちに見てもらわないといけない。
3150FIGHTができて、段々とみんなの頭の中にも入ってきた。でも、できてまだ1年です。次に3150FIGHTから『SURVIVAL』ができたわけですよ。将来的には3150FIGHTからジュニアが出てきたり、女子ボクサーが出てきたり。いずれ3150FIGHTが広がっていくことを描いています」
2022年は日本人世界王者による王座統一戦が5試合も行われた異例の年だった。トップ選手の試合は爆発的大反響を呼ぶ。ただ、日本チャンピオンでもアルバイトをする選手がいるなど格差があるのが現状。亀田氏は危機感を抱いていた。
(後編「プロモーター・亀田興毅が抱くボクシング界への危機感」は4日に配信)
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)