W杯同組イングランドと4年ぶりに激突 エディーHCが警戒する“古巣”日本の武器とは
初金星を狙う日本、テストマッチ連敗を避けたいイングランド
敗れたアルゼンチン戦では、序盤から激しい競り合いとなるなかで、後半30分の逆転PGにより1点差で敗れた。来年のW杯で対戦する相手に苦杯を喫したが、ジョーンズHCは「準備不足は私の責任。確かに簡単なミスでチャンスを逃してしまう展開だったが、数値では上手くいっている部分もある」と指摘。その言葉のとおり、ポゼッション63%、テリトリー60%というデータは勝者の数値でもある。ランプレーを仕掛けた回数も117回と、勝者の47回を遥かに上回り、ボールを保持しての走行距離も427メートル対157メートルと、攻撃面のデータの多くはイングランドが優位にゲームを進めていたことを示している。
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この優位さを勝利に結びつけられなかった大きな要因は、アルゼンチン代表の強固な防御に効果的なアタックができなかったことだ。ダブル司令塔として起用したSO(スタンドオフ)マーカス・スミス、CTB(センター)オーウェン・ファレルも十分には機能しなかった。ファレルをはじめ、CTBマヌー・ツイランギら故障からの復帰組が多く、チームも7月のオーストラリア遠征以来のテストマッチだったという状況を考えれば、日本戦までにどこまでコンビネーション、コミュニケーションを上げていけるかがキーポイントになる。
対する日本代表もメンバー発表に伴い、ジェイミー・ジョセフHCがオンライン会見を開き、「オールブラックス戦でしっかりいいパフォーマンスができて、怪我人もなくイングランド戦に向かえる。トゥイッケナムという特別なスタジアムで、プレッシャーがかかる状態でしっかり自分たちのパフォーマンスを出せて勝てるかを試す試合になる」と意欲を語った。31-38と7点差で惜敗したオールブラックス戦から、先発メンバーの変更は1人のみ。指揮官が防御でのミスの多さを指摘したWTBフィフィタに代わり、ゲラード・ファンデンヒーファー(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)が入るが、イングランドが武器とするキック戦でも身長192センチの“高さ”とフィールディングの安定感に期待がかかる。
過去の対戦成績は日本の9戦全敗。一方、イングランド協会がテストマッチと認定した試合は、うち1987年の第1回W杯と、4年前の2018年11月の対戦のみ。他はイングランドXV(フィフティーン)、A代表によるノンテストマッチとされているため、両協会が公認するテストマッチは今回が3回目だが、オールブラックス戦で掴みかけた“初金星”に限りなく近い対戦になるのは間違いない。
(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)