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「為してきたから、今がある」 京口紘人、ボクサー人生17年の生き様が表れた王座陥落

試合後に語気を強めた言葉「できないからやらないのではなく、できるまで…」

 辰吉も巻いたWBCのベルトは、拳四朗から奪えず。ダウンを喫し、王座を手放した。多くの後輩たち、応援団が駆け付けた客席。リングから両手を合わせ、頭を下げた。傷だらけの顔で会見場へ。報道陣に「ありがとうございました!」と繰り返しながら入ってきた。「悔しい」。シンプルな言葉が何度も口を突いた。

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「応援してくれた人の数も違うので、プロでの1敗は違う。人間いつかこういう負けというのは来ると思っていたけど、負けたというよりサポートがあった中で結果を出せなかったのが悔しいですね。自分は小さい頃から結果を出してきた人間ではなかったですが、支えてくれた方に勝った姿を見せたかったです」

 記者の質問に丁寧に答え、一つひとつに「ありがとうございます」と返した。最後に求められたファンへのメッセージ。目を潤ませ、感情を堪えながら語気を強める様子に、ボクサー・京口紘人の生き様が映し出された。

「自分は子どもの頃から何でもこなせる器用な子じゃなくて、不器用ながらにも人一倍、2倍頑張って、やっと結果を出せるという人間だった。けど、それが今日プロになって初黒星です。

 ただ、できないからやらないんじゃなくて、できるまでやる。そういったことを体現できて、僕はここまで上り詰めてきた。今、ボクシングをやっている子どもたちもそうですし、ボクシングじゃない何かをひたむきに頑張っている子たちに向けて、『やれることをやれば必ず結果が出る』というのを自分は証明したかった。

 そういった子どもたちに少しでも勇気や力を与えられたと思うので……そうっすね……。今日は自分の出せる力を存分に出せたかなと思っています。本当に、応援してくれたファンの皆様に『ありがとうございました』という感謝の気持ちを述べたいなと思います。本当に今日はありがとうございました」

 敗れてもなお、最後まで真摯に人と向き合った。全てを語り終えると、報道陣から大きな拍手が注がれた会見場。その温かさが世界王者として、真っ当に生きたことを証明していた。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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