「為してきたから、今がある」 京口紘人、ボクサー人生17年の生き様が表れた王座陥落
ボクシングのWBA世界ライトフライ級スーパー王者・京口紘人(ワタナベ)が1日、さいたまスーパーアリーナで行われた王座統一戦(Amazon プライム・ビデオで独占生配信)でWBC世界同級王者・寺地拳四朗(BMB)に7回2分36秒TKO負けし、2018年12月に就いた王座から陥落した。WBAスーパー&IBF同級王者だった田口良一に次ぐワタナベジム2人目の複数団体統一王者にはなれず。同一ジムから2人の統一王者輩出はお預けとなった。
敗戦後に語ったこと「やれることをやれば必ず結果が出る。自分は証明したかった」
ボクシングのWBA世界ライトフライ級スーパー王者・京口紘人(ワタナベ)が1日、さいたまスーパーアリーナで行われた王座統一戦(Amazon プライム・ビデオで独占生配信)でWBC世界同級王者・寺地拳四朗(BMB)に7回2分36秒TKO負けし、2018年12月に就いた王座から陥落した。WBAスーパー&IBF同級王者だった田口良一に次ぐワタナベジム2人目の複数団体統一王者にはなれず。同一ジムから2人の統一王者輩出はお預けとなった。
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「為(な)せば成る」の座右の銘を体現し、たどり着いた人生最大のビッグマッチ。23日で29歳になる京口には、ジムの後輩たちに見せたい世界王者の姿があった。試合後の会見でも最後まで真摯に対応。語気を強める様子に生き様が表れていた。戦績は30歳の寺地が20勝(12KO)1敗、28歳の京口が16勝(11KO)1敗。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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「緊張したやろ?」
ワタナベジムのリングサイド。京口はニヤっと笑みを浮かべながら声をかけた。相手はこの日の公開スパーリングの相手を務めたジムの練習生。まだプロテスト受験前の19歳だった。さりげなく用具を片付けながら続ける。
「俺もデビュー2戦目の時に田口(良一)さんの公開練習の相手をやってな。記者さんに囲まれて緊張したわ。『やばーっ! できるかな!』って」
世界王者は最後に「ありがとな」と笑った。ワタナベジムに広がる日常の光景だ。
2016年春、大学卒業と同時に入門。当時、男子では内山高志、河野公平、田口の先輩世界王者が3人いた。「世界チャンピオンがこうあるべきだというのを見てきた。結果、行動で示す姿。練習態度からもそう。そういうのを見てきて、今の僕がいる」。直接、言葉で教えられたわけではない。ただ、自分も同じように生きてきた。
練習を始めれば、後輩たちは確かな技術を盗もうとリングの外から視線を送る。スパー相手には「もう少しこうしたら?」とアドバイス。距離の近い後輩にはファイトマネーを明かす。普通の選手はあまりやることではないが、“ここまで来れるんだ”と夢を見せた。プロとして名前を売るのも仕事。リングの外では、YouTubeやツイッターでセルフプロデュースしてきた。
面倒見のいい兄貴分。同ジムの町田主計(ちから)トレーナーは存在に感謝している。
「人に対してとても真摯。どんなふうに話せばいいか、マスコミ対応の仕方とかも見せてくれる。何より実績を残した上で。後輩が勉強になることを教えてくれますね」