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肌色の違いを感じた少女時代 大竹風美子に自信を与えた、ラグビーの“多様性”が持つ力

「まるで鬼ごっこ」の7人制ラグビーに感じた魅力

 もちろん、大竹がラグビーを選んだのは、差別に悩んだからではなく、純粋に競技としての楽しさに惹かれたからだ。陸上のホープからラグビーに転向した経緯を、本人はこう振り返る。

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「ラグビーを始めた理由はたくさんあるんですけど、最初に7人制を見た時は本当に楽しそうという印象でした。走り回って、ぶつかって、まるで鬼ごっこをしているみたいな感覚があった」

 楽しそうだと感じたのは、2016年のリオデジャネイロ五輪のテレビ中継だった。そんなシンプルな理由で惹き込まれた大竹だが、ラグビーならではの特性も、陸上とは全く異なるこの競技に魅力を感じた理由だという。

「7人制はまだ体格差はあまりないですけど、15人制になると特にポジションによって体格も役割も全然違います。なので、どんな人でも対応できるポジションが必ずあるというのは、すごく魅力的だなと思うんです。背が小さくてもスクラムハーフで走り回れるとか、パスが上手いとか、背が高ければ空中戦で生きる。そこがいいなと感じました。後は、陸上のような個人競技は個人競技で、もちろん魅力はあるんですけど、私はチーム競技で、みんなで一つの目標に向かってやるとか、みんなでピッチに向かうのがすごく好きなんです。ちょっと緊張しいなので、そういう点でもチーム競技はすごく魅力的ですね」

 人種や肌の色のダイバーシティだけではなく、選手の個性や強み、弱みという違いも認め、尊重し合うのがラグビーだ。ここも、個人競技を続けてきた大竹の目には大きな魅力に映った。

 その一方で、陸上の七種競技では、大竹は高校3年の時に全国高校総体(インターハイ)で6位という成績を残している。この実績を持ちながら、高校3年という伸び盛りで他競技へ転向するのは、少しもったいない印象もあるが、未練はないのかという問いにはこう即答している。

「はい、全くないです。七種でずっと目標である点数を取ったし、インターハイ入賞を目指してきて、それが最後の大会で達成できた。だから次、新しいことをやろうと思っていました。もともとチーム競技に興味があったけど、自分の強みを出せるのが陸上でした。でも次を考えている時に、ちょうどリオの7人制を見たんです」

 走る、投げる、飛ぶといった総合的なポテンシャルが求められる七種競技で鍛えられた身体能力と、両親からもらった屈強な体は、“鬼ごっこ”と感じたラグビーでも生かされた。陸上から転向後1年半で代表入りするなど順調にステップを踏んで、五輪という目標が現実的なものとして見えてきた。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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