フィギュアのルール改正、選手への影響は? 今季の演技に見える変化と新時代の“戦略”
フィギュアスケートの2022-23シーズンが本格的に開幕した。今季は北京五輪後の大幅なルール改正があり、いかに対応できたかが勝敗に関わってくる。中でも、スピン、ジャンプ、コレオシークエンスの改正は、「新たな個性」がポイントになりそうだ。
条件が厳しくなったスピン、レベル4獲得のために各選手が試行錯誤
フィギュアスケートの2022-23シーズンが本格的に開幕した。今季は北京五輪後の大幅なルール改正があり、いかに対応できたかが勝敗に関わってくる。中でも、スピン、ジャンプ、コレオシークエンスの改正は、「新たな個性」がポイントになりそうだ。
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まず、春先から選手たちが最も話題にしていたのは、スピンの変更だ。最高のレベル4を獲得するための条件が厳しくなり、「指定された6つの特徴」のうち1つを含まなければならなくなった。プログラムの中でスピンは3つあるため、選手によっては新たに3つの特徴を習得することになる。柔軟性、軸をコントロールする技術、筋力など、自分の能力に合う動きを探し、どの選手も試行錯誤を繰り返してきた。
坂本花織(シスメックス)は6つの特徴のうち、「難しい出方」として「ニー・スライドでの出方」を、「明確なチェンジエッジ」としてキャメルでのチェンジエッジを、そして「フライングエントリーの難しいバリエーション」を選んだ。今季初戦のロンバルディア杯(9月15~18日)では最後のスピンがレベル2になってしまい反省。10月8日のジャパンオープンではレベル3になり、「レベル2は拙いと思って一生懸命練習したので、その成果が出て良かった」と話し、10月21~23日に行われたGPシリーズ初戦のスケートアメリカでは、オールレベル4へと改善を図った。
宇野昌磨(トヨタ自動車)も同様で、「難しい出方や姿勢変更は、新たな挑戦」という。フリーの2つ目のスピンは、シット姿勢からキャメル姿勢に一気に変化するものを導入。また最後のスピンは、ジャンプをしながらスピンから出て、跪いてフィニッシュポーズを取るという、ルール改正を生かしたドラマティックな演出にした。スピンの名手であるステファン・ランビエールコーチの下、集中的に練習してきたことで、10月のジャパンオープンでは全スピンでレベル4を獲得。「スピンは新ルールに沿ったものをやって、レベル4を取れて、ちゃんと対応できているなと思いました」と手応えを感じている様子だった。
またスピンが難しくなったからこそ、器用な若手にとってはチャンスでもある。4回転アクセルで話題のイリア・マリニン(米国)は、スケートアメリカのフリーで「キャメル姿勢でのチェンジエッジ」「フライングのエントリー」「回転速度の増加」の特徴を3つのスピンそれぞれで満たし、レベル4を獲得。ジャンプ力だけでなく、スピンも逆転優勝の底支えとなった。