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箱根シード落ちから7か月 東海大エース石原翔太郎が劇的復活、自己記録1秒更新が持つ意味

長い距離を走る夏合宿を乗り越えたら「完全復活」

 それから石原は、このホクレンに向けて調整を続けてきた。

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 レース2日前には13分50秒をターゲットにし、A組からB組での出場に変更しようとしたが、レースを現状把握と考え、あえてそのまま出場した。東海大の先輩である塩澤稀夕(富士通)ら強者たちがいるなか、後半に順位を上げ、堂々とした走りを見せた。

 これで「石原完全復活」と思ったが、本人の感覚的にはまだらしい。

「ここまでスピード練習をメインにして、それが今日の結果に出たのかなと思います。でも、自分の中ではまだ50%ぐらいです。展開的には自分の良さが出たかなと思いますけど、練習をスタートしてまだ3か月ぐらいですから出来すぎ。こんなに早く走れるとは思っていなかったのでびっくりしましたが、もっといけると思いますし、監督も完全復活とは思っていないと思います」

 自身の状態について慎重な石原だが、完全復活の時期はいつ頃を想定しているのだろうか。

「まだ、全然距離を踏めていないんです。夏合宿で長い距離を走りますが、苦しいと思うので段階的にやっていきます。それを乗り越えて夏合宿を終えられたら、完全復活かなと思います」

 まだ公式戦はホクレンのみで、20キロ以上の距離に対する練習を積めていない。石原としてはハーフの距離もこなせる力がつき、駅伝を走れるレベルになってからが完全復活と考えているのだろう。

 ただ、レースの内容と結果について、両角監督は高く評価していた。

「これまで東海大記録会ですとかウイダーインゼリーの大会に出ましたけど、身内のような大会なので公式戦は昨年の関東インカレ以来、14か月ぶりになります。今日のレースはかなり苦しかったと思いますが、それ以上にここまで怪我で苦しい思いをしてきましたからね。レースの苦しさはそんなに苦しいと感じられなかったんじゃないですか。1秒の自己ベスト更新ですが、大きいですよ。たった1秒でも、この1年で縮められたのはすごく意味のあることだと思います」

 石原が戻ってきたことで全日本大学駅伝を始め、箱根予選会も計算が立つだろう。何よりも大黒柱がいることが、チームに安心感と勢いをもたらすことになる。両角監督も「これで石原の2区、吉田の5区は決まりかな」と笑ったが、予選会を突破すれば当然、そうしたオーダーが実現可能になる。石原自身も「駅伝はしっかり走りたい」とエースの自覚を持っている。

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佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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