田中希実のファンを想う行動 雨上がりの広島、凍える少年たちに贈った1枚のカード【世界陸上】
オレゴン世界陸上は24日(日本時間25日)、10日間の熱戦に幕を閉じた。22歳の田中希実(豊田自動織機)は日本人初の個人3種目に出場。満足できるタイム、順位を得られず大粒の涙を流したが、世界への挑戦を続ける姿は日本のファンの胸を打った。これまでコロナ禍でもファンを楽しませようと試行錯誤。4月の国内レースで取った一つの対応が少年たちを喜ばせていた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
田中希実が国内で行うファンサービスとは
オレゴン世界陸上は24日(日本時間25日)、10日間の熱戦に幕を閉じた。22歳の田中希実(豊田自動織機)は日本人初の個人3種目に出場。満足できるタイム、順位を得られず大粒の涙を流したが、世界への挑戦を続ける姿は日本のファンの胸を打った。これまでコロナ禍でもファンを楽しませようと試行錯誤。4月の国内レースで取った一つの対応が少年たちを喜ばせていた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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ファンを想った行動だった。4月の織田記念国際(広島)。田中はサブトラックでウォーミングアップをしていた。太陽はどんよりとした雲に隠れ、雨上がりの夕方は気温15度ほどの寒さに。見守るファンの中に3人組の小学生がいた。薄着の少年たちは肩を寄せ合い、少し凍えている。
アップも終盤に差し掛かった田中。すると、チームスタッフが少年たちのもとに歩み寄り、何かを配っていた。田中の顔写真に加え、裏面には「のん」という可愛らしいサインと「一志走伝」の座右の銘がプリントされたカード。工夫の凝らした名刺サイズの1枚を少年たちは嬉しそうに受け取った。
東京五輪1500メートルで日本人初の8位入賞。ファンが急増した。しかし、コロナ禍で直接的なファンサービスができず、「何かできないか」と本人の希望もあってカードを作った。年によってデザインが異なる非売品のレアグッズ。主に子どもたちを対象にプレゼントしているという。
ウォーミングアップを終えてメインスタジアムへ向かう途中、幼児を抱いたお父さんの自撮りに合わせて立ち止まり、笑顔で対応した。
「今日もアップの時からいろんな方が見守ってくださった。ちょっとプレッシャーもあるにはあるんですけど、嬉しい気持ちもあります。その時々の自分の状態によって受け止め方が変わってきますが、今日はプレッシャーよりちょっと気持ちが上がるような感じでプラスに働きました」