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ラグビー・リーグワン開幕1年目総括 平均観客数3227人と苦戦、関係者が明かした実情

ラグビーの社会的関心を高めるために、やるべきことはある

 チーム、選手にとっては、いいプレー、いいゲームをファンに提示することが、「原資」であるチケット販売にも繋がる重要な役割だが、2022年の時点で、リーグワンが、ラグビーが、どこまでお茶の間で、客が増えてきている夜の居酒屋で市民権を得ているのか。3年前のラグビーワールドカップ日本大会の時のように、社会的関心であり続けることができているのかを考えると、やるべきことは他にもあるのではないだろうか。選手もグラウンドという檻を抜け出して、社会との接点を従来以上に強める必要があるようにも思えるし、そのために多くのチームが、シーズンを終えた6月初頭にファンとの交流イベントを開催するなどの取り組みを始めている。

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 これからラグビーが市民権を得られるのか、現状のままでいいと見なされるのかを考えると、その判断を下すのはメディアでもリーグでも、チームでもない。鍵を握るのはファン、そしてファン予備軍となる人たちだ。

 一見すると滅多にクレームも言わず、様々なしわ寄せにも従順さを見せているように感じられるが、ファンを見くびってはいけない。ファンは、リーグやチームがどう自分たちと向き合っているかをしっかりと観察し、感じ取っている。ラグビーの場合は、驚くほどこの競技に愛着を持ち、どんな時も応援を続ける有難いファンを抱えているのは間違いない。だが、そのようなコアファンの後ろにいる、不特定ながら、はるかに人口の多い人たちに、ラグビーが自分たち以外を向いていると判断されれば、驚くほどの早さでスタジアムには来なくなるだろう。

 集客、収入という数値ではっきりと示される成果や課題からも、見るべき、考えるべきメッセージが読み取れるだろう。

 だが、シーズンを取材現場で見つめてきて思うのは、ファンファースト、プレーヤーファーストという数値化が難しいエリアに対して、リーグはどこまで一貫性を持って向き合えていたのかだ。リーグ関係者がファン&プレーヤーファーストを無視しているなどとは到底考えていないが、ドタキャン中止時のチケット購入者への対応や、一連のチーム縮小問題のなかでの説明などで、ファンとどこまでしっかりと向き合えていたかを思うと、希薄さを感じてしまうことがあったのも事実だ。

 リーグの成否に最終的な判断を下すのは、リーグワン事務局やチームかもしれない。だが、決定的な審判を下すのは、我々メディアでもリーグでもない。もちろんリーグを構成するチーム、選手の声は傾聴するべきだが、それ以上に声なき声を持つ市井のファン、そしてファン予備軍の人たちこそが、チケットセールスを含めた収益の、そしてリーグ自体の成功の鍵を握っている。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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