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ラグビー・リーグワン開幕1年目総括 平均観客数3227人と苦戦、関係者が明かした実情

プロ化への道のりは描けているか

 では、プロという掲げた頂には、いつ辿り着けるのだろうか。

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 1チームの運営費を見てみると、チーム差はあるものの、年間数億円と考えていい。東海林専務理事の話では、この億単位の収入を得るために、従来の企業スポーツのメリットでもある親会社からの支援を受けながら、協賛スポンサー、チケット収入、放映や物販などの収入でチームを運営していくのが新リーグの将来像になる。もちろん、現在の親会社以外からの収益を高めることができれば、より独立性の高いチーム運営が実現することになるのだが、現状を見れば1、2フェーズでというスパンでのプロ化は容易ではない。

 チームの最大の出費は人件費だが、現在の国内ラグビーチームの場合は、40人台の選手にスタッフを加えると70人ほどの人員を抱えている。その組織が、ラグビーの場合は選手のコンディションを考えると1週間に1試合の開催を基本とした入場料等の収入で、チームを運営していくことになる。

 今季を踏まえると1チーム当たりの試合開催は16~18試合(コロナ中止含む)。うち半数が主催試合となり、チケット収入は原則ホストチームが手にすることになる。チケット金額×観客数×試合数(8)に、スポンサー他の外部収入、そしてリーグ側からの諸収入の分配金で、億単位の運営費を賄うというのが基本的な収支構造になるのだが、これから集計される2022年シーズンの入場料やそれ以外の収入のバランスに注目したいところだ。

 1シーズンを終えて、実際にチーム運営サイドのスタッフに聞いても、「プロ化が具体的に、いつ実現できるかは全く見えていない」と本音を漏らす。絵に描かれた山の頂上は誰もが見ているのだが、その道程がどれだけの長さなのか、今が8合目なのか、5合目なのか。実は、ここを上り切れば頂上だと思っていたが、近づいてみると、さらに3つの山を越えなければ目指す頂に辿り着けないのかもしれないのだ。未踏の山には確実なマップもなければ、グーグルマップも詳細な道順を示せない。

 今後についても、レギュラーシーズン終了後に予定されていたリーグ上位チームと海外クラブが参戦するクロスボーダー大会が開催される目処は立っていない。この大会は、海外チームとの試合経験を増やすという代表強化にも影響する新リーグの目玉事業の1つとして盛り込まれたものだ。代表強化に貢献したサンウルブズのスーパーラグビーからの除外を埋める事業という期待も担っている。

 本来は決勝戦を終えた後にスケジューリングされていたものが、今年末へ修正され、その後は進展のないままシーズンが終わってしまった。リーグ表彰式後に東海林専務理事が「数年のうちに実現できることが見込める状況にあるという段階」と、若干回りくどく説明していることから読み取れるように、再び後ろ倒しになっているのは間違いない。今季の開催は、人知れず難しくなっている。長くコロナ禍の影響を受けて、海外チームとの協議が進められなかったという事情は鑑みるべきだろうが、その一方で、これまでも指摘してきた2022年の開幕ありきで進められた準備不足のままのスタートの弊害が、注目の国際大会にも及んでいる。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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