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ラグビー・リーグワン開幕1年目総括 平均観客数3227人と苦戦、関係者が明かした実情

専務理事が挙げた4つの成果、プレーのレベルが向上

 表彰式後には、リーグ運営を陣頭指揮した東海林一専務理事が取材に応じて、玉塚理事長の言葉を補完するように、まず成果として4項目を挙げた。

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[1]競技力の向上
[2]新しいラグビーの姿をファンに提示して新たな楽しみ方を創造する
[3]チーム主体にしたファンと一体になった試合を超えた演出
[4]リーグ、チームレベルでのパートナーとの共創

 この4点を、同専務理事は「まだ進化過程」としながらも評価しているという。確認しておくが、17シーズン行われてきた従来のトップリーグを終わらせて、敢えて新リーグへと舵を切った大きな理由は、日本代表の強化に繋がる競技力の向上と、プロ化への移行によるチーム、リーグの事業性、独立性を高めるためだ。[1]が代表強化に直結する要素だが、海外からの多くのトップ選手の参入や国内選手のレベルアップは、シーズンを通じて見て取ることができた。全チームの所属選手中で、国内外の代表経験者の総数は60人にも及び、総キャップ数は1500に上ったという。

 決勝の埼玉WK-東京SGを観ても、個々のプレーの質の高さ、選手の戦術理解などで、従来以上に海外トップクラスのリーグに一歩近づいた印象だ。18-12というスコアも、防御の不安定さが影響した過去の大味な国内ゲームからワンステージ上がった緊張感を孕んだゲームと評価したい。

 今や世界最高峰と呼んでいいフランスリーグでのプレー経験も豊富で、スーパーラグビーに参戦していた日本のサンウルブズも経験したジョージア代表HO(フッカー)ジャバ・ブレクバゼ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)が、「このリーグはアメージングで、いい選手、コーチ、チームが揃っている。ただ、プレーの強度に関してはフランス2部リーグと比べても差があると思う」とフィジカル面での課題を指摘しているが、この“宿題”も、現在のような海外トップ選手の流入が続けば着実に差を縮めていくだろう。

[2]については、従来は高齢層のファンが多かったなかで、新リーグにはスタンドで女性層、家族連れなどによる若年層のファンを、従来以上に目にすることができたのは間違いない。[3]の試合を超えた演出は[2]とも重なるものだが、会場周辺では、試合前後を中心として選手とファンの交流イベントやラグビーの体験コーナー、グッズ販売などの催しが行われ、トップリーグ時代以上にエンタメ性は高まっている。[4]も、親会社以外の企業からの支援獲得などに、チームが積極的に取り組んでいることは間違いない。取り組む度合いや進捗状況などでチームの個別差は見受けられるが、どのチームも試行錯誤をしながら、よりクオリティを上げていこうとしている段階だ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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