鈴木隆行、W杯ベルギー戦秘話 “つま先弾”導くブラジルでの涙と「眠れなかった」前夜
先制点を奪われた2分後、運命のロングパスが飛ぶ
翌2001年に日本代表に初招集され、初先発となったコンフェデレーションズカップのカメルーン戦で2ゴールを挙げた。あの日、砂浜を走ることを止めなかったから、反骨のストーリーがつながったのだ。
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苦しみにある時がチャンスだと、鈴木隆行は分かっている。
0-0で迎えた後半12分、ベルギーのマルク・ヴィルモッツに豪快なオーバーヘッドを決められ、均衡が敗れた。超満員の埼玉スタジアムが一瞬静まり返ったなか、彼の目はギラついていた。
そのわずか2分後だった。
自陣の左サイドで中田浩二が相手からボールを奪うと、フリーになっていた小野伸二にボールが渡った。前線に走り出していた“背番号11”目がけて、運命のロングパスが飛んだ。
(第2回へ続く)
【第2回】W杯“つま先弾”と鈴木隆行の生き様 「勘違いしない」男が愚直に追った微かなチャンス
【第3回】日韓W杯から20年、鈴木隆行の今 スクール5校運営、「本物の指導者」へ下積みの日々
■鈴木隆行 / Takayuki Suzuki
1976年6月5日生まれ、茨城県出身。現役時代はFWで、日立工業高校から95年に鹿島アントラーズに加入。出場機会に恵まれず、ブラジルのCFZに2度、国内ではジェフユナイテッド市原(現・千葉)、川崎フロンターレへ期限付き移籍した。2000年の鹿島復帰後に頭角を現すと、翌01年に日本代表初招集。02年日韓W杯にも出場し、ベルギー戦で歴史的なゴールを決めた。日本代表通算55試合11得点。15年の現役引退後は解説者の傍ら指導者の道に進み、現在は小学生を対象にしたスクール「UNBRANDED WOLVES SOCCER SCHOOL」を運営している。
(二宮 寿朗 / Toshio Ninomiya)