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宗像サニックス「永遠のノーサイド」 28年の歴史に刻まれた“非エリート集団”の団結力

山海に抱かれたサニックス玄海グラウンドは、都会にはないゆったりとした時間が流れていた【写真:吉田宏】
山海に抱かれたサニックス玄海グラウンドは、都会にはないゆったりとした時間が流れていた【写真:吉田宏】

外国人ラガーマンも魅了した宗像の環境

 同じ価値観で集団をまとめるのも組織作りの手法だが、ブルースは、ボールを動かす冒険的なアタッキングラグビーを信条にしながら、多様な個性や背景を認め、受け入れながらチームを育んできた。近道ではないかもしれないが、石垣のように居心地の良さを感じて、多くの“流れ者”たちが集まってきた。そして仲間たちに惹かれたのと同様に、宗像という場所にも魅せられたのがWTBカーン・ヘスケスだ。

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「1年契約というつもりで、日本で何が起こるか分からないまま来日したが、すぐに宗像が大好きになった。環境がニュージーランドに似ていたこともあって、契約を2年、また2年、3年と延ばすなかで、帰りたくない、できるだけ長くここに居たいと思うようになったんだ。グラウンドはビーチの横にあるし、チームファンクションでバーベキューをしたり、本当に素敵な場所だからね」

 2015年ラグビーワールドカップで優勝候補の南アフリカを撃破した“ブライトンの奇跡”で、インジュアリータイムの逆転トライをもぎ取った弾丸トライゲッター。ニュージーランドでも、そのゴムまりのような瞬発力と爆発的な加速で、日本への流出を惜しむ報道があったヘスケスだが、母国からの誘いも、日本での強豪チームからのオファーも蹴って、ブルースでの活躍は12年に及んだ。

 ヘスケスも語ったように、玄海グラウンドは海沿いの松林をくぐれば、1分かからず雄大な神湊のビーチに出迎えられる。グラウンド横にはヤシの木も生え、サーフィンを楽しむ選手が在籍していた時代はクラブハウスにボードが立てかけられていた。グラウンドには常に波音が聞こえ、土地に不慣れな訪問者には、静かな町に聞こえてくる練習する選手の声が、グラウンドへの“道しるべ”になった。

 今季も、通算4トライながら力強いランで何度もチャンスを切り拓いた“宗像の切り札”は「今日の僕たちのラグビーは、皆さんがサニックススタイルだと思っているそのままのことができたと思う。いつも絶対に諦めず、負けていても後半に大きなエネルギーを出して巻き返して勝ちにいく戦い方、そしていつもワクワクするラグビーを目指してきた」と分厚い胸を張った。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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