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体重超過を一度も非難しなかった谷口将隆 物議を醸したV1戦、王者が相手を信じた理由

 ボクシングのWBO世界ミニマム級(47.6キロ以下)タイトルマッチが22日、東京・後楽園ホールで行われ、王者・谷口将隆(ワタナベ)が挑戦者の同級5位・石澤開(M.T)に11回2分29秒TKO勝ちして初防衛に成功した。前日計量で2.3キロの大幅な体重超過を犯した相手を返り討ち。不利な状況のまま強行開催されたが、王者は前日から一度も相手を非難することはなくベルトを守り抜いた。戦績は28歳の谷口が16勝(11KO)3敗、25歳の石澤が10勝(9KO)2敗。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

10回終盤、ラッシュを浴びせる谷口将隆(右)【写真:浜田洋平】
10回終盤、ラッシュを浴びせる谷口将隆(右)【写真:浜田洋平】

WBO世界ミニマム級タイトルマッチ

 ボクシングのWBO世界ミニマム級(47.6キロ以下)タイトルマッチが22日、東京・後楽園ホールで行われ、王者・谷口将隆(ワタナベ)が挑戦者の同級5位・石澤開(M.T)に11回2分29秒TKO勝ちして初防衛に成功した。前日計量で2.3キロの大幅な体重超過を犯した相手を返り討ち。不利な状況のまま強行開催されたが、王者は前日から一度も相手を非難することはなくベルトを守り抜いた。戦績は28歳の谷口が16勝(11KO)3敗、25歳の石澤が10勝(9KO)2敗。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

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 リングを制したのは、不利な条件を呑んだ王者だった。拳を振り回す挑戦者に対し、谷口がいなす展開。9回に右アッパーで顎を跳ね上げてみせた。ぐらつく相手に1495人のスタンドは大歓声。石澤のプレーに怒号が飛んだ瞬間もあった。それをよそに、王者は猛然と迫ってくる敵の打ち終わりに左ストレートを入れた。ロープに詰めてラッシュ。11回、最後は左を入れたところでレフェリーが止めた。技術で完全に上回った。

 ベルトを巻き、勝ち名乗りを受けて拳を突き上げた。「すみませんでした」。真っ先に謝罪に来た石澤に「もうこれからは謝らなくていいよ」と余裕の笑顔。計量失敗が非難を浴びる大失態であることは知っている。慮るように肩を叩き、リングインタビューでファンに求めた。

「石澤選手はこれから罰も受けるし、今回のことで凄い反省したと思う。これからの彼を見ていただけたらと思います。プロボクサーであっても、失敗は誰でもする。失敗から何かが始まると思います。これからも頑張ってほしいです」

 石澤は前日計量でリミットを2.5キロ上回る50.1キロ。谷口は「再計量であと1キロは落としてほしい」と願ったが、2時間後も49.9キロと大幅超過された。「落とせないならやりたくない」と試合開催に難色。陣営の説得を受けた末、条件を付けた。試合までの回復時間が可能な限り短い午後5時半の当日計量の実施と、50.6キロの規定体重を要求。石澤は丸一日絶食し、水分摂取のみでクリアした。

 谷口が負けていれば王座を失い、さらに物議を呼んでいたことは必至。一度も契約体重を下回っていない相手は、減量によるダメージが少ないとされる。ルールを守れなかった挑戦者に対し、不利な状況。イレギュラーなリングへ、気持ちをつくるのも簡単ではないはずだが「整理はすぐにつきましたね。ごはんを食べたら『あとはやるだけ』と思うだけだった」と事もなげに笑った。

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