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宮里藍の父に救われた不登校少年 引きこもり時代から46kg減、生まれ変わった18年物語

藤原が朝8時から夜遅くまで練習を続けた大北ゴルフ練習場【写真:柳田通斉】
藤原が朝8時から夜遅くまで練習を続けた大北ゴルフ練習場【写真:柳田通斉】

入門後も1年間引きこもり…優氏が説得「私がついている」

 健人は程なく高校を中退し、両親と大北ゴルフ練習場を訪れた。優氏は健人が不登校になった経緯も知った上で、引き受けた。当時、優氏は「宮里道場」の師範として、夕刻から夜にかけて、プロを目指す生徒たちをレッスンしていた。しかし、人と接することが苦手な健人だけは昼間に指導。グリップ、アドレスから教え、スイングの基本を作る「30ヤードのアプローチ」も繰り返させた。

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 だが、その頃の健人は110キロの巨漢ですぐに疲れ果てていた。早々とゴルフの難しさも知り、考えの甘さを痛感。やる気を失い、ついにはアパートから外に出なくなってしまった。

「練習を頑張れば、プロになれて藍さんのように稼げるという思いもありましたが、とてもかなえられるものではないと気づき、また、自分の殻に閉じこもってしまいました」

 1か月、2か月を経ても健人は家から出てこなかった。宮里道場のスタッフが電話をし、アパートを訪れても「行きたくない」。両親が京都から説得に訪れたが、ダメだった。そうして、1年が過ぎた頃、優氏は両親がいる前で、健人にこう伝えた。

「健人、君が入った宮里道場の長期コースはプロを目指すものだが、ご両親がここに来させた理由は、君を人として立ち直らせたい。みんなと一緒に生活をして、笑えるようにさせたい。そういうことで、必ずしもプロにさせようとことではないんだよ。だから、レベルに関係なく、自分のペースでゴルフをすることを考えなさい。ゴルフを通じてマナー、ルールを守ることを学ぶようにしなさい。私がついているから」

 その言葉を聞き、健人は顔を上げ、目に力を入れた。数日後には1人で練習場にやってきた。優氏から「よく来たな」と声を掛られると、照れくさそうに「はい。よろしくお願いします」と返答。引きこもり生活を脱した瞬間だった。

 やる気になった健人は、朝8時から夜遅くまで練習するようになった。終了後は「家に帰ってもクラブを握りたい」と言い、ゴルフバッグを持ち帰った。体重はみるみる減って90キロに。一方で、ボールを打つたびに顔をしかめるようになった。左手首の腱鞘炎だった。やる気になって体も絞れてきたのに練習ができない……。そこで、練習場の川崎友子代表が、健人に声を掛けた。

「朝、練習場の中を歩いてみましょうかね。私も運動をしたいから」

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