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日本フィギュア界が抱えるリンク減少問題 競技人生で4つ本拠地を失った鈴木明子の提言

身近な場所でイベントが定期開催されることが、スケートの普及・発展のきっかけの一つになると語る鈴木明子さん【写真:松橋晶子】
身近な場所でイベントが定期開催されることが、スケートの普及・発展のきっかけの一つになると語る鈴木明子さん【写真:松橋晶子】

「保育や教育に、スケート体験を」

 問題解決のためにフィギュア界もできることを少しずつ取り組み、多くのスケーターが体験教室などのイベントを行っています。

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 私も何か大々的なことを打ち出すより、まずは身近な場所でこうしたイベントが定期開催されることが、スケートの普及・発展のきっかけの一つになると思います。加えて、まずはスケートに触れるという意味でアイデアとして持っているのは「保育や教育に、スケート体験を」です。

 東北地方などでは珍しくありませんが、体育の授業にスケートを取り入れる。もちろん、地域のリンクの有無もよりますが、遠足という形を取ってみてもいい。特に夏は気温が高くなり、熱中症のリスクもある時代。実際に滑る子供たちも見守る先生・保護者も快適に過ごすことができます。

 氷の上で行うスケートは「非日常」の象徴。“できないことが、ひとつずつできるようになる”という喜びは、他の競技と比べても大きいもの。まずは氷の上で立てた、片足で立てた……そうやって小さな成功体験を積み重ね、得られる達成感には大きな価値があります。それがスケート以外でも“やったことのないことにチャレンジしてみよう”という一歩につながれば、子供の教育にも意味があることです。

 もちろん、全く怪我のリスクがないわけではありません。しかし、最初は肘当て、膝当て、ヘルメットから始め、無理な滑り方さえしなければ、誰でも楽しめるスポーツ。スーッと氷に乗って、風を感じられる覚は何にも変えられません。

 海外に目を向けると、スケートが文化として根付く国もあります。その一つがオランダ。フィギュアスケートよりスピードスケートが盛んですが、リンクにはおじいちゃん、おばあちゃんも当たり前のように滑り、人であふれている。こんな風にスケートが日常に溶け込むといいなと思いました。

 また、現役時代に毎年遠征していた米国のデトロイトのリンクは毎年本格的なアイスショーを開催。出演するのはクラブの小さな子どもから五輪に出る選手たち。私も一度出演させてもらったのですが、照明や大道具まで使った本格的なショーに驚きました。地域の方にリンクに足を運んでもらえる素敵な機会になっていると感じました。

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鈴木 明子

THE ANSWERスペシャリスト プロフィギュアスケーター

1985年3月28日生まれ。愛知県出身。6歳からスケートを始め、00年に15歳で初出場した全日本選手権で4位に入り、脚光を浴びる。東北福祉大入学後に摂食障害を患い、03-04年シーズンは休養。翌シーズンに復帰後は09年全日本選手権2位となり、24歳で初の表彰台。10年バンクーバー五輪8位入賞。以降、12年世界選手権3位、13年全日本選手権優勝などの実績を残し、14年ソチ五輪で2大会連続8位入賞。同年の世界選手権を最後に29歳で現役引退した。現在はプロフィギュアスケーターとして活躍する傍ら、全国で講演活動も行う。

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