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ワリエワはなぜ全ジャンプで両手を上げる? 「難しい」という先入観を壊した効果とは

インタビューゾーンに現れたワリエワは、氷上とは一変した15歳の女の子

 結果的に、女子にとって難度の高いトリプルアクセルを、ワリエワは「早めに回転をかけて」「高速回転させる」という両面で成功させているのだ。

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 もちろん、これはワリエワだからできる高度な技術。回転を速めたいからといって、他の女子がトリプルアクセルで両手を上げるのは難しいだろう。ワリエワでさえ、4回転トウループは13歳で成功したものの、トリプルアクセルは15歳となった今季が初成功。この北京五輪でも、トリプルアクセルの可否が、彼女の唯一の不安要素と考えられてきた。

 2月6日の団体戦SPでは、まったくブレも迷いもない軽やかなトリプルアクセルを、両手を上げて成功。五輪史上、女子で4人目のトリプルアクセル成功者となった。

 うさぎのティッシュケースを抱きしめながらインタビューゾーンに現れたワリエワは、氷上とは一変した15歳の女の子だった。

「今日の演技前はちょっと緊張していましたが、氷に乗ったら落ち着いて、いつもどおり、やるべきことをやれました。亡くなったお婆さまに捧げる気持ちで、魂を込めて滑ったので、最後のポーズを取った時、ちょっと感情的になりました」

 ワリエワの伝説は、2月15、17日の個人戦へと続いていく。

(野口 美惠 / Yoshie Noguchi)

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野口 美惠

元毎日新聞記者のスポーツライター。冬季五輪は2010年バンクーバー大会から現地取材。自身のフィギュアスケート経験をもとに技術面を丁寧に描写した記事に定評がある。スポーツ専門誌などに幅広く寄稿。著書に『伊藤みどり トリプルアクセルの先へ』(主婦の友社)、『羽生結弦 王者のメソッド』(文藝春秋)など。

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