「やっぱり甘くはなかった」マラソンデビュー 九電工・大塚祥平の2時間5分台への道
補欠のまま準備を続けた東京五輪「いい経験になりました」
2021年8月。大塚はレース4日前に開催地の北海道・札幌市に入る。そして本番2日前の8月6日、補欠解除の知らせを受け、すぐに九電工の合宿に合流。レースはテレビで観戦した。
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「東京では補欠解除の日まで、いざ出番が回ってきたときも自信を持っていける準備ができたこと。そして通常、マラソンがない(夏の)時期に向けて準備、練習をするという、いい経験になりました」
五輪をリアルに体感した後も、五輪出場に対する特別な想いはない。世界大会出場、タイトル獲得を掲げるよりも前に、今の自分から進化することに集中する。
「マラソンはレース自体が高速になってきているので、自分もそういう走りが出来るよう、スタミナもスピードもしっかりレベルアップしないといけない。
強い選手に練習内容を聞くと、量も質も本当にレベルが高いんですね。今の自分では考えられない練習量、スピードで走る。同じレベルの練習は今の僕には出来ないので、まずはケガをせず、トータルでいい練習をすることが大事だと思っています。マラソンでの目標ですか? 今、日本記録が2時間5分を切るペースなので、まずは5分台を出せる力をつけたいですね」
中学時代は陸上とサッカーの二足のわらじだった。中学3年で長距離の楽しさを駅伝で知り、高校から陸上一本の人生を歩む。
「マラソンは試合もしんどいが練習もしんどい。でも、苦しんだ分、試合でうまく走れると達成感も大きい」
2時間5分台に乗せるプランは出来ている。次のMGCでは背中を追うのではなく、追われるランナーになるべく、一日、一日を、ひたすら走る。
■大塚祥平(おおつか・しょうへい)
1994年8月13日生まれ、大分県出身。大分東明高校時代からトップランナーとして活躍。駒澤大学に進学し、1年時より箱根駅伝に出場。卒業後は地元・九州に戻り、(株)九電工に入社。2019年のMGCでは4位。2020年12月の第74回福岡国際マラソンでは2時間07分38秒の自己ベストを記録。2021年12月の第75回福岡国際マラソンでは全体4位、日本人2位となり、2023年のMGC出場権を獲得した。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)