井岡一翔の“距離感”に元世界王者も脱帽 「パッキャオの後継者」破り新たな歴史築くか
田中恒成が認めていたボクシングの上手さ
井岡はこれまで4階級制覇、王座統一など様々な偉業を成し遂げてきた。彼のようなクラスになると、ただの防衛戦では気持ちも乗らないだろう。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
前回2021年9月には、元王者のフランシスコ・ロドリゲス・ジュニアを迎え防衛戦を行った。元王者だったが下馬評では井岡が有利。しかし、挑戦者の打ち合いに巻き込まれ、思いのほか苦戦した。井岡本来の持ち味が出れば、もっと簡単に勝てた相手だっただろう。その試合をなんのためにするのか――それが見えている試合と、見えていない試合では内容も大きく変わってくる。
井岡の持ち味は、独特な間合いから試合をコントロールする距離感だ。傍目には分かりづらい武器だが、相手からしたら遠距離からパンチが飛んでくるため気づいたらパンチをもらってしまう。タイミングが狂わされ、非常にやりづらい。
昨年末に対戦した田中恒成に話を聞く機会があったが、「駆け引きの上手さ、経験が優れていた。ボクシングというものを分かっている。自分のすべてを出したが、通用しなかった」と話していた。3階級を制覇している元王者が完敗を認め、ここまで言わせるとは驚きだった。
著者もまだ学生時代の井岡と、手を合わせたことがある。その時から独特な距離感を持っていて、パンチがまったく当たらなかった。パンチを当てる間にも優れ、相手の出方を見て試合を決める勝負強さも持っている。アンカハスも強敵ではあるが、熟練したボクシングを見せる井岡がどのように戦うのか、興味深い。