息切れすら躊躇した4日間 初めての女子ゴルフ取材で感じた「自分は大丈夫」の怖さ
野球とは違うと感じた“流れ”の作り方
ラウンド中は選手たちが互いにリスペクトを言葉に出していることに感心させられた。バーディーを奪った後、「ナイス」と声をかけ合う選手は1人や2人ではない。組のリズムや雰囲気が個人成績にも繋がると聞いたことがあるが、競争相手でも称賛する競技特性を実感した。
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初取材にあたり、特に注意するよう事前に伝えられていたのはマナーの遵守。選手がルーティンに入ったら動いてはいけないし、音を立てることもNG行為。打つ前にカメラのシャッターを切るなどもってのほか。当たり前のことだが、僅かな音や動きがショット、パットの乱れに繋がるからだ。
この辺りは野球と大きく違う部分。モーションに入った投手にシャッターを切るのも問題ないし、観客席からは応援団の演奏や声援が常に飛び交っている。野球は球場のムードに乗せられて打つ、打たれることもあり“流れ”を周囲が生み出すこともある競技だが、ゴルフは静止したボールを静かな環境で、自分のタイミング、リズムで打ち続けるという点では、自ら“流れ”を作らなければならないスポーツなのだと感じた。
選手を見守る側の雑音や目につく動きは、悪い流れを生み出す元。何かあってはならないと、度々マナーモードになっているか確認しないと不安になったし、急斜面を登った後の息切れですら抑えなければならないと気を張っていた。ギャラリー同士で互いに注意する場面も見かけ、意識の高さを感じさせられたが、残念な出来事もあった。
第3日の7番パー4でのこと。渋野選手が約1.5メートルのパーパットを打つ前、グリーン周りにいた男性の着信音が鳴り響いた。なかなか止まらず、付近にいた別の観客が注意した後にようやく収まった。少し嫌な空気が流れた直後、仕切り直しで放たれたパーパットは外れ、ボギーとなった。