[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

「才能」だけでは戦えない スペイン名門が重視、育成年代に求める“共闘精神”

サッカー上達のからくりとは――。現代は情報が溢れ返っているが、ミクロで見過ぎると全体を見失い、サッカーとして意味をなさない。例えば、どれだけドリブルが上手くなっても、それをいつ、どこで、どのように、誰と使うのか、その判断が適切でないと役に立たない。サッカーは集団で行い、それだけに無数の選択肢があり、繰り返される場面はなく、臨機応変さが求められる。判断、選択がモノを言う、マクロなスポーツだ。

スペイン名門のレアル・ソシエダが重んじる“共闘精神”【写真:AP】
スペイン名門のレアル・ソシエダが重んじる“共闘精神”【写真:AP】

連載「世界で“差を生む”サッカー育成論」:レアル・ソシエダが重んじるもの

 サッカー上達のからくりとは――。現代は情報が溢れ返っているが、ミクロで見過ぎると全体を見失い、サッカーとして意味をなさない。例えば、どれだけドリブルが上手くなっても、それをいつ、どこで、どのように、誰と使うのか、その判断が適切でないと役に立たない。サッカーは集団で行い、それだけに無数の選択肢があり、繰り返される場面はなく、臨機応変さが求められる。判断、選択がモノを言う、マクロなスポーツだ。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 一方で、サッカーはフラクタルなスポーツとも言える。どの一部を切り取っても、すべてに通じる。一事が万事というのか。ワンプレーに全体を見透かす要素が詰まっていて、その点でワンプレーのディテールに迫ることもサッカーの修練につながる。名将マルセロ・ビエルサは各ゾーンに区切ってトレーニングし、それを一つにつなげる数学的アプローチをしているほどだ。

 サッカーはすべてが正解で、すべてが間違いである。単純明快なスポーツでありながら、不条理で理不尽で、多くの矛盾をはらんでいる。規則的ではないからこそ、無限の楽しみもあるわけだが……。

<サッカーを指導し、サッカー選手を育成する>

 指導や育成はサッカーの根源だが、その成功のカギは「サッカーを知っていること」にあるかもしれない。

 スペイン語では、それを「Saber jugar」と表現する。“知る”はスペイン語で大きく分け、「Saber」と「Conocer」がある。前者は英語の「Can」に近く、術を知っていて行える状態で、使える、操れるにも通じる。例えば、「他の言語が喋れる」という時にも使う。後者は単に知識や情報として入っていることを意味し、本質を知っているかどうかは問われない。

 では、サッカーを知っているとは――。

 今回スタートさせた連載「世界で“差を生む”サッカー育成論」では「知の探究」として、そこに近づくヒントを届けたいと考えている。サッカーは奥深く、果てしない。知り尽くすのは難しいが、人は解明そのものに面白さを感じるものでもある。

 スペイン、リーガ・エスパニョーラの名門レアル・ソシエダは、欧州主要リーグの1部クラブで最も下部組織出身者が占める割合が高い。例えば今年10月のヘタフェ戦では、ミケル・オヤルサバル、マルティン・スビメンディ、アレハンドロ・レミーロなど先発の11人中9人もの選手が下部組織「スビエタ」出身者だった。控えも半数以上が下部組織育ちで、今シーズンもヨーロッパリーグに出場しているだけに、瞠目すべき陣容だ。

1 2 3

小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
UNIVAS
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集