5戦全敗に終わった日本 地殻変動が起こる世界の女子7人制ラグビーで生き残れるのか
「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる様々な“見方”を随時発信する。7人制ラグビーは、男子が前回リオデジャネイロ五輪の4位から11位と大きく順位を落としたのに続き、女子代表も参加12か国中最下位で東京五輪を終えた。リオ五輪の10位にも届かず、7人制が五輪種目に採用されて2大会目の東京で目の当たりにしたのは、足早に進む各国の進化。その大きな潮流の中で、日本の女子7人制はメダルどころか世界から取り残される危機に立たされている。(文=吉田宏)
「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#53
「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる様々な“見方”を随時発信する。7人制ラグビーは、男子が前回リオデジャネイロ五輪の4位から11位と大きく順位を落としたのに続き、女子代表も参加12か国中最下位で東京五輪を終えた。リオ五輪の10位にも届かず、7人制が五輪種目に採用されて2大会目の東京で目の当たりにしたのは、足早に進む各国の進化。その大きな潮流の中で、日本の女子7人制はメダルどころか世界から取り残される危機に立たされている。(文=吉田宏)
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7人制日本代表の東京2020が終わった。
男子に続いて行われた女子の試合で、期待に応えることはできなかった。感染対策のために取材機会も限定される中で直接、間接に見聞きしてきた彼女たちのラグビーにかける姿勢は評価したい。だが、厳しい言い方にはなるが、地の利があるはずの東京での全敗、最下位という結果は、しっかりと受け止めなければいけない。この数字が、2021年の自分たちの立ち位置を正しく示してくれている。
決勝トーナメント進出を断たれ、実質上の終戦となった中国とのプール戦第3戦を見ても、スピード、フィジカル、そして勝利への旺盛さと、格差をしっかりと見せつけられた。キックオフボールを確保しながら、ブレークダウンで重圧を受けて反則を犯し、速攻から簡単に防御を破られて許した先制トライが、全てを物語っていた。スキルを見比べる時間もなくスコアされていたことが、厳しい現実を印象づけた。
中国以外の対戦相手も、日本の弱味は熟知していた。1対1のフィジカルコンテストが、どの参加国よりも脆い。例え人数をかけて、しぶとい防御が出来ても、それを2次、3次と繰り返すと、必ずどこかに綻びを見せる。どのチームも、攻撃を継続すれば必ずどこかに穴が見つかると確信して、挑んできたはずだ。あまりに簡単に防御を破られたプール第1戦の反省から、最後尾に立つスイーパーを前に上げたシステムを敷いたことで1次攻撃では太刀打ちできても、防御の裏に出られると簡単にトライまで持っていかれるのは当然の帰結でもあった。
大会を終えて日本選手全員がコメントをしているが、多くが勝てなかったことへの謝罪、無念さと、大会が開催されたことへの感謝に終始している。その中で、格上の相手にハードタックルを浴びせ続けた梶木真凜が、チームについてこう語っている。
「自分たちはもう一度、一からしっかり見直して強化を図る必要があると思います。この悔しい気持ちを前進する糧にします」
この思いを、協会も含め、指導陣、選手がしっかりと共有して、3年後に迫るパリ五輪へ向けて、どれだけ早い時間から強化に着手できるかに期待したい。