[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

ポスト福岡堅樹は“滑り込み”代表入りの新星 サンウルブズ戦で注目「3人の新戦力」

“滑り込み”で代表入りした高橋汰地【写真:Getty Images】
“滑り込み”で代表入りした高橋汰地【写真:Getty Images】

“滑り込み”で初代表入りの高橋は候補外からの抜擢

 サンウルブズ、サンゴリアスという2つのチームで得たものと課題をさらに聞いてみると、「ボール捌きに関しては自分も少し自信があって、そこで勝負したいとは思っている。ただ、それだけではなくて、試合の状況を見ながらキックを使ったり、チームを落ち着かせること、そういう判断の部分は、これからまだまだ磨いていかなければならない」と自分の強みも、また足りないものも明確に捉えている。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 判断力を高めるためには、テストマッチでのハイレベルな経験を積むことが欠かせない。19年W杯まで日本代表の9番を独占してきた田中史朗(キヤノンイーグルス)と流がコンディショニング等を優先して代表に不在の今季、どこまでメンバーに食い込み、テストマッチでのプレー時間を稼げるかが成長のカギを握る。

 齋藤とは対照的に“滑り込み”で代表入りしたのがWTB高橋汰地(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)。怪我人の代役として5月27日に召集された。本人も「こぼれてきたチャンス」と苦笑いの初選出だったが、「これを、どうこの先に繋げていくか、ここで何か1つでもいい選手だと思われるようなプレーをコーチ陣、スタッフに見せたい」と代表サバイバルへの野心は旺盛だ。

 コロナ感染の影響でシーズン途中で中止となった19-20年シーズンにトヨタでデビューして、20-21年シーズンは主力の14番に定着したが、ルーキーという括りを越えた高いポテンシャルを見せ始めている。ステップを切ってもスピードが落ちないランと、無類のハイボールへの強さで、21年シーズンは出場した5試合で4トライをマーク。神戸製鋼黄金時代に同じWTBで活躍した父・晃仁さんの剛脚と決定力を引き継いでいる。高橋自身も「今回のシーズンは、前年よりも自分の強みや、やりたいことが形に表れた印象だった。トライを獲り切る決定力やハイボールキャッチ、細かいスキルの精度は自信がついた。代表合宿、遠征でも見せていきたい」と意気込んでいる。

 TLでわずか“1.5年目”というキャリアで飛躍的な進化を続けているトライゲッターに、ジョセフHCも代表候補外からの“飛び級”抜擢を決めた。12日の強化試合はサンウルブズ側に派遣されて先発出場するが、日本代表の藤井雄一郎ディレクターは「基本的には代表選手に、より多くのゲーム時間を作りたい。(サンウルブズで出場する選手は)代表から漏れた選手ではなくて、代表の先発15人に次ぐ選手」と事前に説明。ジョセフHCも「福岡堅樹のようなXファクターを持った選手」とポスト福岡として注目する。

 2年後のフランスへ生き残るには、福岡のような、チャンスを必ずスコアに結び付ける決定力はマストだろう。加えて、テストマッチでのタックル、コンタクトといったフィジカル面でどこまで戦えるかが、大きなチャレンジになる。

 福岡が抜けたWTBの枠を争うのは、ゲラード・ファンデンヒーファー(クボタスピアーズ)、セミシ・マシレワ、シオサイア・フィフィタ(ともに近鉄ライナーズ)ら海外勢。過去にサンウルブズでも実績を残す3人は、同時に“36か月ルール”適用のために今年中の代表戦出場が優先される選手でもある。高橋は、このライバルたちの厚く、高い壁を乗り越えて桜のジャージーを掴む戦いに挑むことになる。

 23歳の齋藤、24歳の高橋と、23年W杯以降も代表で活躍できる20代前半のメンバーにスコポットを当ててきたが、28歳で初キャップに挑む遅咲きのルーキーにも注目したい。25日の試合は代表からサンウルブズ側に回り先発する森川由起乙(サントリーサンゴリアス)は、機動力を武器に桜のジャージ獲りを狙う。

1 2 3

吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集