浅田真央、宇野昌磨らを輩出 なぜ、愛知は名スケーターを生み出せるのか
「伊藤みどりさんがいなかったら、今のフィギュア王国・愛知はない」
「伊藤みどりさんがいなかったら、今のフィギュア王国・愛知はないと思います」と久野さんは断言する。一人のトップ選手を育てれば、次の選手は自然に育つとよく言われるが、愛知ではその環境が何世代にもわたってうまくつながってきた。伊藤みどりの背中を追いかけ、小岩井久美子、須山愛子、恩田美栄が日本のトップ選手へと育ち、さらにその姿を見て鈴木明子、中野友加里、安藤美姫、浅田舞、浅田真央、村上佳菜子ら数多くの選手が愛知から世界へと羽ばたいていった。
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「小さい頃から良いお手本が身近にいて、たくさん見る機会がある。言葉で教えるよりもずっと上達が早いんです。世界で活躍する選手が隣にいて、一日どんな練習をしているのかを常に見ることができる。その環境は大きいですね」
日本人でトリプルアクセルを成功させた伊藤みどり、中野友加里、浅田真央。4回転を成功させた安藤美姫。愛知にはジャンプを得意とする選手が多い。「ジャンプも、小さいうちに周りで跳んでいる選手を見ることで、軸の取り方や回転の速さなどを目で覚えていきます」。熱心で優秀なコーチの存在も大きいと久野さんは続ける。
「伊藤みどりさんが出てきた頃に、ちょうどプロの指導者が少しずつ増えてきた。そういうことがうまくかみ合ったことも大きいですね」
伊藤みどり、浅田真央、宇野昌磨を育てた山田満知子コーチ、ジャンプの指導に定評があり、安藤美姫が生涯の師と仰ぐ門奈裕子コーチに加え、荒川静香、鈴木明子を育成した長久保裕コーチ(昨年引退)が仙台から名古屋に拠点を移したことも王国を盤石なものにした。
「満知子先生を筆頭に、どのコーチも本当に熱心です。ほとんどスケートに人生を注いでいる感じです。生活のためにスケートを教えているのであれば、あれだけハードなことはできないです。本当にフィギュアスケートが好きだからできることだと思いますね」