浅田真央、宇野昌磨らを輩出 なぜ、愛知は名スケーターを生み出せるのか
“世界基準”の大会から“本当の世界”へ
競技レベルだけでなく、大会運営も“世界基準”だ。「小さい選手も喜ぶので、大会の運営はしっかりとやってあげたい」と表彰式も氷上で行う。
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「世界のトップ選手が氷上で表彰される場面を見ることはあっても、自分がその上に立てる機会はそれほど多くないので、目標になります。逆にもし3位に入れなかったらすごく悔しいので、選手も保護者も次回はもっと頑張ります。大会の運営を考えたら、時間も人手もかかって大変ですが、それでも選手の励みになるならと氷上での表彰式を始めました」
愛知県スケート連盟が主管する中部日本選手権(中日カップ)では、10年ほど前から表示や放送などがすべて英語で行われている。参加する選手にとって、気分は国際大会。モチベーションも明らかに変わってくるという。
「キスアンドクライや、テレビのインタビュー、囲み取材もあります。その中で選手たちは小さい頃から取材を受けることに慣れていき、日本の代表になる頃には普通に受け答えができるようになる。小さい頃からの積み重ねがあるからこそ、選手たちは違和感なく大きな大会にも入っていけるのです」
“世界レベル”の大会を経験することで愛知の選手たちは、小さい頃から自然に世界で戦う準備を整えていく。選手、コーチ、保護者、連盟が一体となり築き上げてきたフィギュア王国・愛知。そこで育った生粋のプリンスが2月、平昌五輪の舞台でその真価を見せつける。
◇山田智子(取材・文)
愛知県名古屋市生まれ。公益財団法人日本サッカー協会に勤務し、2011 FIFA女子ワールドカップにも帯同。その後、フリーランスのスポーツライターに転身し、東海地方を中心に、サッカー、バスケットボール、フィギュアスケートなどを題材にしたインタビュー記事の執筆を行う。