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NYの永遠の“フェイバリット・サン” 孤高の元エースが苦悩の日々で貫いた流儀

NYファンも自分を重ね合わせて共感…元エースは永遠なる“フェイバリット・サン”

 チームを勝利に導けず、批判されるのはもちろん仕方ない。2014年夏にニックスがアンソニーと結んだ5年1億2400万ドル(約130億円)という契約は当初から賢明とは思えず、結果として、完全な判断ミスとして記憶されていくに違いない。

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 それでもアンソニーはNYを愛し、この街で成功したいと願い、自分にできる限りのことをやった。その時々でベストは尽くした。敗れたのは個人、チームの実力、能力が及ばなかっただけで、準備、努力不足ではなかった。

 才能に満ちあふれ、大舞台を好み、熱心で、時にセルフィッシュで、完璧ではなかったスタープレーヤー。ジャンルを問わず、この街に集まってくる多くの才人たちは、そんなアンソニーと自身の共通点を見つけられるのではないか。アンソニーも最後までNYでの勝利を望み続け、そして敗れた。

 せっかちの典型のように言われるニューヨーカーだが、“地元愛”を感じさせる選手には意外に寛容である。チームを去るぎりぎりまで、アンソニーはNYの“フェイバリット・サン(地元で愛された選手)”だった。

 だからこそ、初めての帰還の際に、地元ファンは彼にスタンディング・オベーションを送ったのだろう。そして、これから先も、アンソニーがNYに戻ってくるたび、人々は元スターを総じて温かく迎える続けるに違いない。

(杉浦 大介 / Daisuke Sugiura)

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杉浦 大介

1975年、東京都生まれ。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、ボクシング、MLB、NBAなどを題材に執筆活動を行う。主な著書に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)、「イチローがいた幸せ」(悟空出版)。

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