“死の組”に入ったラグビー日本代表 日本大会超えへ、熟練記者が見た本当の可能性
2023年に行われるラグビー・ワールドカップ(W杯)フランス大会の抽選会が14日にパリで行われ、プールDに入った日本代表はイングランド、アルゼンチンとの対戦が決まった。まだ出場国が決まっていない他の対戦相手は、オセアニア1位(サモア、トンガが有力)、南北米大陸2位(ウルグアイ、米国、カナダらが有力)となっている。
ラグビーを追い続ける吉田宏記者のコラム、3年後の本番へ向けての課題と可能性
2023年に行われるラグビー・ワールドカップ(W杯)フランス大会の抽選会が14日にパリで行われ、プールDに入った日本代表はイングランド、アルゼンチンとの対戦が決まった。まだ出場国が決まっていない他の対戦相手は、オセアニア1位(サモア、トンガが有力)、南北米大陸2位(ウルグアイ、米国、カナダらが有力)となっている。
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元日本代表ヘッドコーチ(HC)エディー・ジョーンズ氏が率いるイングランドは世界ランキング2位、11月にニュージーランドを倒したアルゼンチンは同8位と、10位の日本を上回る強敵が揃う。まさに死=デス・プールといえるプールDから、目標に掲げる昨秋のW杯日本大会のベスト8超えへ向けたジェイミー・ジャパンの課題と可能性を考える。
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新たな歴史を切り開くための険しいチャレンジがスタートした。
パリのランドマークの1つでもある旧証券取引所で行われた抽選会は、新型コロナウイルス対策で、史上初めてのリモート開催。司会進行役と抽選を引くアンバサダーだけによる異例のイベントとなったが、注目の組み合で日本は“死のグループ”入りが確定。抽選会から一夜明けた15日には、母国ニュージーランドで取材に応じたジェイミー・ジョセフHCも、組み合わせについて表情を引き締めた。
「抽選会直後の気持ちは、2つの非常にパワフルな国と当たることになったということ。セットプレーも強く、体も大きいフィジカルな相手との対戦は、我々には大きな挑戦になる。イングランド、アルゼンチンともにオールブラックスに勝っているので、大きなチャレンジになるし、沢山の楽しみがあるプールになったと思う」
ファンにとっては、エディー・ジョーンズ氏と代表メンバーとの“師弟対決”をW杯の舞台で観戦する楽しみが出来たが、当事者にとっては世界屈指の策略家であり、日本ラグビーを熟知する指揮官との一騎打ちになる。アルゼンチンも、20-54と日本が完敗した2016年11月の対戦でわかるように簡単に勝てる相手ではない。そして、ジョセフHCも語るように、イングランドは昨年のW杯準決勝で、そしてアルゼンチンは冒頭に書いたように、それぞれ“世界最強”と呼ばれるニュージーランドを倒している厄介な相手だ。
プールDの厳しさは他のプールと比較してもわかる。現状での実力に基づいた判断だが、各プールから決勝トーナメントに進出するチーム、次点チーム(※)を予想してみよう。
A ニュージーランド、フランス、※イタリア
B 南アフリカ、アイルランド、※スコットランド
C ウェールズ、オーストラリア、※フィジー
D イングランド、日本、アルゼンチン
A、B、C各組は、よほど実力に変化がなければ順位は変わらないだろう。強いて言えばB組で、強化を押し進めてきた指揮官が退任したアイルランドと19年大会から指導陣が継続されるスコットランドの強化の成否で順位が逆転する程度だろう。しかし、プールDに関しては、1歩リードするイングランドを、日本、アルゼンチンが並走しながら追う展開となりそうだ。19年大会で優勝候補のアイルランドが日本に敗れたようにイングランドも楽勝は保証されていないが、バンド2扱いの日本も2敗、つまりプール戦敗退の可能性もある。
ラグビーファンなら誰もがその実力をよく知る2か国だが、共通するのはフィジカルでは日本にはないパワーとサイズを誇る。伝統的に大型FWの重圧を軸にゲームを組み立てるラグビーの母国イングランドだが、ジョーンズHCの就任で浅いラインでボールを大きく動かし、ゲインラインを突破してくるのが最近の特徴だ。
アルゼンチンも筋肉質な選手によるパワフルな肉弾戦とハードタックル、そして代表メンバー中心に編成されたジャガーズで参戦したスーパーラグビー(SR)で、テンポの速いアタック重視のラグビースタイルも旺盛に吸収している。過去5大会の成績を見るとイングランド、アルゼンチンの実力がよくわかる。
【3か国の過去5大会の成績】(左から03、07、11、15、19年W杯)
・イングランド 優勝、準優勝、ベスト8、プール戦敗退、準優勝
・アルゼンチン プール戦敗退、3位、ベスト8、4位、プール戦敗退
・日 本 プール戦敗退、プール戦敗退、プール戦敗退、プール戦敗退、ベスト8