早大の日本一PR、最下位チームの原石 将来の日本代表入りが期待される逸材たち【FW編】
明大の主将に感じるポテンシャル、帝京大HOは昨秋の日本代表メンバー彷彿
日本代表の歴代コーチは、常にリンクプレーヤーと分類される山本タイプの選手を代表合宿に選びながら、最終に近いセレクションでW杯メンバーから外している。相手とのコンタクト、フィジカルの強さが重要なFW3列を選考する時に、常に悩まされるのがサイズの問題だ。歴代コーチは最終的にはサイズ、ストレングスを優先した決断をしてきたのだが、山本がこの壁を崩して3年後のフランスで桜のジャージーを着ることに期待したい。
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その慶大に1敗を喫した明大だが、対抗戦連覇、そして2季ぶりの大学選手権制覇に見合う戦闘力を誇る。中でも毎試合高いワークレートを見せ続けるのが主将のNO8箸本龍雅(東福岡=4年)だ。攻撃の起点となるブレークダウンから常にボールを受け前進、そして密集に絡み、再びボールを受けて前進と、80分間働き続ける。高校時代からの本来の持ち味は、広いスペースでもサイズに似合わないステップを使いながら仕掛けられる攻撃センスだけに、明治でももう一人、コンタクトエリアで箸本の役割をカバーできる存在がいれば、さらにポテンシャルを広げる可能性がある。
2017年度の大学選手権9連覇から2シーズン日本一の座を逃してきた帝京大にも、大学トップクラスの選手が揃っている。今季は早大との全勝対決に敗れて、優勝へは1敗もできない位置に立つが、FWは下級生の戦力が充実している。開幕から先発メンバー入りするHO江良颯、NO8奥井章仁(ともに大阪桐蔭=1年)のルーキーコンビが異次元の能力を見せている。
江良は日体大との開幕戦で3トライを量産。帝京の強みであるゴール前のモールからのトライが多いが、そのうち1本は連続攻撃から奪ったもの。同じ機動力のあるHOでは、2015年度主将で昨秋のW杯でも活躍した坂手淳史(パナソニック)の再来と期待されるが、ハードタックルが武器だった坂手に対して、江良は攻撃面で高い能力を発揮するタイプ。チャンスボールを自分からもらいに行く積極性と判断力が光る。
すでに花園でもコンタクトで無類の強さを発揮してきた奥井も、名門チームの中でFWの核となるNO8で存在感をみせる。早大戦でも相手に当たり負けしない縦への強さを見せて、大学レベルでもフィジカル勝負で十分通用することを証明している。FW第3列というポジションは、慶大FL山本同様にサイズ面では代表入りへ大きな壁があるが、178センチ、104キロのバックローが、そのハードルにどう挑むのかが楽しみだ。