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姫野和樹は世界最高峰のSRでも輝けるのか 7年前に気づかされた“怪物の真価”

日本で開催された昨秋のラグビーワールドカップ(W杯)で日本代表のベスト8進出に貢献したFL/NO8姫野和樹(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)が11月22日にウェブ会見を開き、2021年シーズンの加入が発表されたスーパーラグビー(SR)・ハイランダーズ(ニュージーランド=NZ)挑戦への意気込みを語った。

NZ挑戦が決まった姫野和樹【写真提供:トヨタ自動車】
NZ挑戦が決まった姫野和樹【写真提供:トヨタ自動車】

高校時代から姫野を見続けてきた吉田宏記者が可能性を検証

 日本で開催された昨秋のラグビーワールドカップ(W杯)で日本代表のベスト8進出に貢献したFL/NO8姫野和樹(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)が11月22日にウェブ会見を開き、2021年シーズンの加入が発表されたスーパーラグビー(SR)・ハイランダーズ(ニュージーランド=NZ)挑戦への意気込みを語った。

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 現在フランスリーグ参戦中のFB松島幸太朗、姫野と同じハイランダーズで活躍したSH田中史朗(キヤノンイーグルス)ら、いまや海外挑戦する代表クラスの選手は珍しくない。だが、フィジカル面の強さが求められるFW、中でも激しい肉弾戦が不可欠なFW第3列というポジションでの日本選手の挑戦は異例のこと。高校時代から、その才能と成長を見続けてきた“原石”の進化の足跡を辿りながら、ラグビー王国での可能性を検証する。

 ◇ ◇ ◇

 NZでの挑戦を選んだ最大の理由を聞くと、26歳の日本代表FLはストレートに言い切った。

「夢をかなえたい」

 楕円球に魅せられた者なら誰もが、ましてやトップレベルでプレーする選手なら、なおさら憧れるラグビー王国。ラガーマンの“約束の地”での挑戦への期待感と興奮が、PCのモニターを通しても伝わってきた。

 NZ南島南部のオタゴ・ダニーデンを拠点とするハイランダーズは、昨秋のW杯で日本代表のコーチを務めたトニー・ブラウンが新シーズンからはヘッドコーチ(HC)に昇格。今夏にNZ国内5チームで開催されたSRアオテアロアでは4位と低迷したチームの再建が託された。2015年には現在日本代表を率いるジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)とブラウン・アシスタントコーチの二人三脚でSRを初制覇するなど、日本との繋がりが強いだけに、姫野にとっては最適な選択とも考えられる。

 ハイランダーズの本拠地、オタゴのフォーサイス・バー・スタジアムは、NZ最古の歴史を誇る伝統校オタゴ大学の学生が陣取るゴール裏の熱狂的な応援が名物。世界一クレイジーともいわれるサポーターに、姫野が受け入れられるのが楽しみだ。

 その一方で、日本でプレーしている限りは活躍もレギュラーポジションも確約されていたはずの姫野がラグビー最強国のSRチームでは何の保証もない。敢えてリスクのある選択をしたのは「夢」という理想のためだけではない。会見では、昨秋のW杯での経験が背景にあることも語っている。

「(準々決勝で敗れた)南アフリカ戦まで、モチベーションというかコンディションを維持できなかった。あれだけレベルの高いゲームを1週間、2週間こなしていくのも初めての体験だったので、南アフリカ戦のところで満身創痍だったし、自分のプレーが全然できなかった。もっともっと強くなりたいという自分の向上心が強くなりました。なので、SRというレベルが高いリーグで毎週のように戦う、そしてタフになれるのは、すごくメリットがあると思い、行くことを決めました」

 2020年シーズンまで日本から参画していたサンウルブズが来季SRから除外されたことも、オタゴ行きを決めた理由の1つと認める一方で、姫野は「言語能力であったり、自分の居心地のいいところを離れること、後はいろんな素晴らしい選手がいる中で毎試合毎試合チームの中の競争に勝っていくというところも、日本にいては体験できない。そこは、すごく魅力的なところ」と、海外のハイレベルで厳しい環境に身を置くことの重要さが、海外挑戦の大きなモチベーションとなっている。

 五輪競技などとは違い国籍を代表選考の条件としないラグビーは、いまやダイバーシティの時代を迎えている。日本代表も主力選手の多くはNZ、南アフリカなど海外出身者が占める中で、姫野は日本で生まれ育った代表戦士として、大きな期待と注目を背負う存在だ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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