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なぜ「腸が一番大事」なのか 元日本代表MFが現役時代に驚かされたトレーナーの指摘

16年間のプロ生活を通して、浦和レッズや日本代表で活躍してきた鈴木啓太は、毎日自分の体を触っているトレーナーの言葉に驚いた。

鈴木啓太氏の腸内細菌研究に懸ける想いとは【写真:AuB株式会社提供】
鈴木啓太氏の腸内細菌研究に懸ける想いとは【写真:AuB株式会社提供】

【鈴木啓太、腸内細菌研究に懸ける想い|第2回】年齢を重ねるとともに腑に落ちた母の言葉

 16年間のプロ生活を通して、浦和レッズや日本代表で活躍してきた鈴木啓太は、毎日自分の体を触っているトレーナーの言葉に驚いた。

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「啓太さん、冷たいもの飲んだでしょう」
「夕べ、辛いもの食べたんじゃないですか」

 いつも図星だった。

「そんなことを言い当てられるのは、僕の体が正直に反応してなんらかの変化が表れているということですよね。あるいは、お腹を触ってみて左右のバランスが崩れていたり、どちらかが固くなっていたりすると、疲れが抜け難くなっているのはそのせいかな、と思い当たる節がある。そんな時は、お灸を長めにやってもらったりすると回復していきます」

 優れたコンディションを保ち良いパフォーマンスを発揮するには、なぜ腸が重要なカギを握るのか。鈴木は、こう考える。

「サッカー選手のサイクルを考えると、トレーニングをして食事を取り、体のケアをして回復を図り、睡眠をとって再びトレーニングに臨みます。つまり体に負荷をかけたら、休養を取り栄養を摂取して回復に努める。その繰り返しになります。マッサージなどでも回復を促しますが、プロテイン、ビタミン、アミノ酸などすべての栄養を吸収するのは腸なんですよね。つまりエネルギーをしっかり吸収できなければ、何を摂取しても機能しない。だからお腹の状態が良くなければ、厳しいトレーニングには耐えられない。そんな理屈が成り立つのではないでしょうか」

 実際に現役時代は、便がすっきりと出ると体が動き易く、残便感があると思うように動かないと感じた。幼い頃から聞かされ続けてきた「腸が一番大事」「必ず便を診なさい」という母の言葉は、年齢を重ねるとともに腑に落ちてくるのだった。

 一方で浦和レッズでは、2012年に選手たちの尿の比重を定期的にチェックし、体内の水分量を把握する取り組みを始めた。個々の水分量が把握できるようになり、不足気味の選手たちは日頃から水分補給を心がけることで試合中に足が攣らなくなった。そして鈴木は、腸の環境も可視化できれば、それに即して選手たちの行動も変えていけるのではないか、と考え始める。

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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