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【One Rugbyの絆】聴覚障がい者の「静かで熱い戦い」 デフラグビーの魅力を知っているか

強豪・帝京大で健聴者とともにプレー、公式戦にも出場しトライを経験

 大塚さん自身は、小学4年生の頃にタグラグビーを始め、ラグビーの魅力に取り憑かれた。中学、高校でも健聴者に混じってラグビーをプレー。大学は強豪・帝京大に進み、迷うことなくラグビー部に入った。壁にぶつかったこともあったが、人一倍の努力を重ねて公式戦に出場し、トライを決めた経験を持つ。

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 後ろにボールを投げながらゴールに向かって前進するラグビーは、コミュニケーションのスポーツとも言われる。聴覚障がいを持つと声や音によるコミュニケーションが取りづらい。それを大塚さんは、相手の口の動きから言葉を読み取る読唇術と手話、筆談で補っているが、もちろん試合中には使えない。そこで、大学では戦術のパターンを徹底的に学んだ。

「部としてどういうラグビーを目指しているのか理解することで、次のフェーズはどう進むのか想像できます。コミュニケーションが少なくても動けたり、連係プレーを取ることができる。この経験は今、社会人になってからも生きています」

 大学卒業後はパナソニックに入社したが、2015年に発足したNPO法人ワイルドナイツスポーツプロモーションに転職。デフラグビー日本代表として現役生活を続けながら、デフラグビーに限らずラグビーの魅力を1人でも多くの子どもたちに知ってもらいたいと普及活動に携わる。

 デフラグビーは主に7人制で行われるが、選手が両耳どちらとも25デシベル以上の聴覚障がいを持つ以外、通常の7人制と全く同じ。違いがあるとすれば、手話をメインにコミュニケーションを取っている点くらいで、特別ルールは一切用意されていない。そこにこそ、デフラグビーの魅力があると大塚さんは言う。

「ラグビーは聴覚障がい者にとって圧倒的に不利なスポーツなんですね。後ろにボールを投げるのに、振り返って仲間の位置を確認していれば、前からタックルされてしまう。前もってサインプレーを決めていても、試合中にプレーの選択が変わることがありますし、意思疎通ができていないとミスが起きてターンオーバーになってしまう。なので、仲間との相互理解が欠かせません。

 ボールをパスする人なのか、自分で持っていきたい人なのか、仲間のことをよく知らないといけません。よく知った上で意思疎通を図り、チームみんなで助け合うことに力を入れます。そうやってトライを取った時の喜びは、聞こえる人の中でプレーしている時よりも、デフラグビーの方が何倍も大きいです。とても静かだけど、とても熱い戦いが行われている。これがデフラグビーの魅力だと思います」

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