【#キミとONETEAM】「僕は脳を手術した。でも、いまを一生懸命に頑張った」―三菱重工相模原・土佐誠
新型コロナウイルスの感染拡大により、昨秋のワールドカップ(W杯)で空前のブームが巻き起こったラグビー界も大きな影響を受けた。1月に開幕したトップリーグがシーズン途中で中止。1試合の観客最多動員を記録する試合も生まれるなど、W杯から続いていた盛り上がりが予期せぬ形で途絶えてしまった。
子どもたちともう一度「ONE TEAM」に―「ラグビー選手から午前9時のメッセージ」第5回
新型コロナウイルスの感染拡大により、昨秋のワールドカップ(W杯)で空前のブームが巻き起こったラグビー界も大きな影響を受けた。1月に開幕したトップリーグがシーズン途中で中止。1試合の観客最多動員を記録する試合も生まれるなど、W杯から続いていた盛り上がりが予期せぬ形で途絶えてしまった。
【注目】現役、OB、指導者ら豪華メンバーが連日登場 ラグビー連載「#キミとONETEAM」全一覧はこちらから
もっとプレーを見せたかった選手、プレーを見たかった子どもたち。距離が遠くなってしまったいま、「THE ANSWER」はラグビー界がもう一度、子どもたちと一つになれることを願って、「#キミとONE TEAM」と題した連載をお届けしている。
元日本代表主将の菊谷崇さんと廣瀬俊朗さんが発起人となり、多くの現役、OB、指導者らが賛同。いま抱えている思いとともに、全国の子どもたちに向けたメッセージを送る。また、記事は連日午前9時に配信。「#きょうのトライ」として、学校が休校となっている子どもたちにきょう1日を使い、やってほしいことを提案する。
第5回はトップリーグ三菱重工相模原ダイナボアーズのキャプテン、土佐誠さんだ。三菱重工相模原は今年、12年ぶりに昇格したトップリーグでチーム史上初となる記念すべき勝利を飾った。
◇ ◇ ◇
新型コロナウイルスの影響でトップリーグは中止になってしまいました。選手として、僕も残念な気持ちはありますが、いまは健康であることが何より大切。日本だけではなく世界中が同じ状況なので、ラグビーだけではなくスポーツ全体が協調できているように思います。
それにしても、今年のトップリーグは盛り上がりました。いろいろなメディアで伝えられていた通り、ワールドカップでの日本代表の活躍、そしてワールドカップが日本で行われた熱気が、そのままトップリーグまでつながってきたと思います。試合前に「このスタジアムって、こんなに人が入るんだ」と選手が驚くくらい、たくさんの人が応援にきてくれて、選手の気持ちを高めてくれたことは本当に大きかったですね。
そして、トップリーグ全体のレベルも上がったように感じました。僕は2017年にダイナボアーズに入った後、2シーズンをチャレンジリーグで過ごしましたが、その前はNECグリーンロケッツのメンバーとしてトップリーグでプレーしていました。今年、久しぶりに感じたトップリーグの空気でしたが、日本人選手も外国人選手も一人ひとりの力が上がっているな、と感じました。
スタジアムで客席を見ると、たくさんの子どもたちが応援に来てくれているのもうれしかったですね。日本代表選手がいるチームと試合をした時は、対戦相手の僕たちにも一生懸命に手を振ってくれていました。街を走っている時に、ラグビーボールを持っている子どもを見かけたこともあります。以前はそんな風景は見たことがありませんでした。
たくさんのお客さんが見に来てくれる中で、今年ダイナボアーズはトップリーグで初めて勝つことができました。チームは12年前にもトップリーグにいたことがありますが、その時は1勝もできませんでした。今年は「どのチームでもいいから勝とう」というチーム目標を持っていたので、本当にうれしかったです。このチームはみんな能力の高いいいチームだというのはわかっていたので、僕はキャプテンとして、どうやってみんなの力を合わせて勝ちに向けられるか考えていただけ。これまで長い間、勝つことを待っていたスタッフやファンのみなさんの気持ちを考えると、ようやく勝ててホッとしました。
僕はいま、またみんなと外でラグビーができる日を目標に、3密を避けて人が少ない早朝にマスクをつけて走っています。あとは本を読んだり、海外のドラマを見たりしながら、家にいる時間を楽しんでいます。いま見ているのは「LOST(ロスト)」という海外ドラマで、無人島に墜落した飛行機の中で生き残った人たちのお話です。せっかく家に長くいるので、いままでできなかったことにチャレンジしています。