パワハラを起こす「7つの習慣」とは 8年前に体罰で辞任、過ち語る高校ラグビー元監督の願い
指導者や親が変わらないと子供たちも変わらない
セミナーで話を聴きながら筆者の中にふつふつと浮かんだのは、辞任後に学んだこと、経験を、再びグラウンドに立ち、選手たちに対して実践していきたいという気持ちにならないのかという疑問だった。セミナーを終えた松井さんは、苦笑を交えながらこう話してくれた。
「俺の中では現場の指導よりも、指導者が、親が変わらないと子供たちも変わらないということに、今は気持ちがいっちゃっているかもしれない。子供たちって、1つのマスになっちゃうでしょ。指導者だったら、そのマスがいっぱいあるわけです。学んだことをチームで実践してくれれば、より多くの子供たちにプラスになるでしょ。指導者は若い子がやればいい」
その言葉には、今背負っているミッションの重要さと意義を認識し、自分が犯した失敗にしっかりとけじめをつけようという強い意志が込められていた。同時に、少し寂しそうな笑顔の中には、再びグラウンドで子供たちと一緒に楕円球を追いたいという思いが感じられた。
(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)