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ラグビー日本代表も箱根駅伝出場校も活用 広がるスポーツのGPSデータで何が分かるのか

「育成年代にこそGPSデバイスが必要」と開発されたKnows

 ではGPSデバイスを、育成年代の運動能力向上に役立てることは可能なのか。

 日本発のフィールドスポーツ向けGPSデバイスとして注目を集める「Knows(ノウズ)」は、サッカーの本田圭佑選手が開発に携わっていることで知られ、育成年代・高校生層を中心に普及が進んでいる。Knowsを取り扱うSOLTILO Knows株式会社の代表取締役・本田洋史氏に聞いた。

本田「本田選手が最初に海外移籍したオランダのVVVフェンロは、決して規模の大きなチームではないにもかかわらず、GPSデバイスによるデータ計測が行われていました。その後、本田選手はロシアのCSKAモスクワ、イタリアのACミランとステップアップしていきましたが、いずれのチームもGPSデバイスによるデータ分析が当たり前だったそうです。

 ただしどのクラブでも、データ分析が行われていたのはトップチームだけ。育成年代への普及は進んでいなかったのです。そんな状況を見た本田選手が『むしろユース年代にこそデータに基づいたトレーニングが必要ではないか。自分で数値を見て、考えられる選手に育ってほしい』と考え、育成年代をメインターゲットにKnowsを開発しました」

高校サッカーの強豪校や、大学のサッカー部、女子チームなど、約120チームがKnowsを活用【写真:SOLTILO Knows株式会社提供】
高校サッカーの強豪校や、大学のサッカー部、女子チームなど、約120チームがKnowsを活用【写真:SOLTILO Knows株式会社提供】

 Knowsは現在、Jリーグのユースや市立船橋、流経大柏といった高校サッカーの強豪校や、大学のサッカー部、女子チームなど、約120チームが活用している。中でも最も多いのが高校のサッカー部で約80校。今年の全国高等学校サッカー選手権に出場した中では、計14チームが導入していたという。

本田「高校にはアナリストがいないことがほとんどなので、Knowsはジャイロスコープを省くなど、機能をできる限り簡略化。走行距離や最大速度、スプリントの回数、距離、時間といった基本データを中心にピックアップしています。さらに、選手自らデータを見て、自分のコンディションを簡単に把握できるようアプリ化するなど、ユーザーインターフェースを極力シンプルにしています」

 多くの海外メーカーのデバイスは基本的にアナリスト向けで、英語の専門用語も多く理解が難しい。その点Knowsが目指しているのは、高校生が見てすぐ分かるUI(ユーザーインターフェース)。試合や選手の走行距離や心拍数などは、リアルタイムで1秒ごとにタブレットを使って確認できる。

試合や選手の走行距離や心拍数などは、リアルタイムで1秒ごとにタブレットを使って確認できる【写真提供:SOLTILO Knows株式会社】
試合や選手の走行距離や心拍数などは、リアルタイムで1秒ごとにタブレットを使って確認できる【写真提供:SOLTILO Knows株式会社】

 そしてコストについても、部活動の限られた予算を考慮。必要最低限の機能にフォーカスすることで、ギリギリまで価格を下げた。

本田「多くの場合、GPSデバイスの導入は周辺機器も含め、百万円単位の費用(デバイスにより価格は変動)が必要でした。Knowsは購入する場合、デバイスと周辺機器、専用ウエアを合わせて1セット約7万円。レンタルする場合、2年で1セット月額2,980円、3年で2,300円と安価に設定しています」

 Knowsのほかにカタパルトでも廉価版が出るなど、GPSデバイスの導入コストは下がってきている。予算や用途に合ったものを探してみてほしい。

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