東京五輪で金・銀メダル計4個獲得 世界最高の睡眠コーチ、海外で高まる休息の重要性
「睡眠」は人間が生きていく上で、切っても切れない関係にある。しっかりと体を休めて熟睡し、気持ちの良い目覚めを迎えて心身ともにリフレッシュするためにはどうすればいいのか。そんな“理想の睡眠”を追求しているのが、アスリートスリープコーチとして活動する矢野達人氏だ。「スポーツと睡眠」をテーマにした連載の第2回は、世界最高のスリープコーチと呼ばれ、サッカーの欧州名門クラブや女子ボートの東京五輪ニュージーランド代表を指導したニック・リトルへイルズ氏との出会い、そして独占契約を結ぶに至った経緯について振り返る。(取材・文=加部 究)

連載「スポーツと睡眠」第2回、ニック・リトルへイルズ氏に直談判し独占契約
「睡眠」は人間が生きていく上で、切っても切れない関係にある。しっかりと体を休めて熟睡し、気持ちの良い目覚めを迎えて心身ともにリフレッシュするためにはどうすればいいのか。そんな“理想の睡眠”を追求しているのが、アスリートスリープコーチとして活動する矢野達人氏だ。「スポーツと睡眠」をテーマにした連載の第2回は、世界最高のスリープコーチと呼ばれ、サッカーの欧州名門クラブや女子ボートの東京五輪ニュージーランド代表を指導したニック・リトルへイルズ氏との出会い、そして独占契約を結ぶに至った経緯について振り返る。(取材・文=加部 究)
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矢野達人は、医療、手技療法、運動療法、栄養療法、休息療法を5本の柱とするオルソグループで、「休む」「リラックスする」「寝る」を軸とする休息療法を担ってきた。国内で研鑽を積みクリニックやサロンなどを通して2万人近くと関わり「睡眠問題が改善した」と感謝の声も多数届いていた。
だが、もともとスポーツトレーナーの養成学校を卒業しており「将来はアスリートのサポートを」と考えていたところで、2018年に世界最高のスリープコーチ、ニック・リトルへイルズの著書に遭遇する。
現在リトルへイルズのもとへは、世界中から指導依頼が押し寄せ、とりわけサッカー界での活動が顕著だ。マンチェスターを象徴するシティとユナイテッドの両クラブやレアル・マドリードなどを筆頭に、イングランド代表、リバプール、レバークーゼン、サウサンプトンなどのコーチを歴任。さらにはNBA、自転車、ボートなど活動は多岐に渡っている。寝具メーカーのマーケット担当から独立し現職に就いたのだが、発端は直接マンチェスター・ユナイテッド宛てに睡眠の重要性を説く手紙を送ったことで、同クラブで指導に携わってからは瞬く間に世界規模で輪が広がっていった。
実は矢野もリトルへイルズと同じ方法で、アスリートスリープコーチとしての地位を築いていこうと試みた。だが日本では、英国と同じストーリーは綴れなかった。連絡を取っても話を聞いてもらえないことが多く、なかなか睡眠の価値への理解を得られず交渉が成立しない。暗中模索のなかでリトルへイルズの著書に感銘を受け、「もし世界レベルの人と繋がれれば状況を変えられるかもしれない」とメールを送ってみた。
こうして思いがけず道は開けた。日本語で送ったメールなのにしっかりと熱意は通じたようで、リトルへイルズからの返信が届く。矢野はリモートで直接レッスンを受けられることになり、さらに次々に課題をクリアし最終試験にも見事に合格。ついに世界で初めてのビジネスパートナーに選ばれるのだった。
61歳のリトルへイルズは言った。
「達人(矢野)は、初めてのモデルケースだ。もし成功したら、他の国へも広げていこう」