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箱根駅伝を走る基準は「月間750キロ」走破 創価大・榎木和貴監督が説く“距離を踏む”重要性

距離を踏む大切さを語った榎木和貴監督。就任した5年前からのチームとしての成長を実感している【写真:編集部】
距離を踏む大切さを語った榎木和貴監督。就任した5年前からのチームとしての成長を実感している【写真:編集部】

部員のほぼ全員が「朝ジョグで12キロを走っています」

――3チームに分けることができたのは、コーチの加入も大きかったのでしょうか。

「そうですね。今年からコーチになった築舘(陽介)をはじめ、3人のコーチングスタッフになったのは、いろんな面でプラスになっています。これまでは監督主導で私だけの考えを落とし込んで指導してきたのですが、今はコーチの違った視点からのアプローチが可能になりました。また、40名の選手に対して、監督1人だったので、コーチが増えたことで監督のところに行く前に相談することができるようになったので、選手にとって大きなプラスになっています」

 創価大の練習メニューは箱根駅伝で結果を出すという視点で、榎木監督のこれまでの経験を踏まえて作成されている。レベルに応じて5000メートル、1万メートル、ハーフでの設定タイムが設けられ、長い距離を走る「距離踏み」がベースになる。

――年間の強化プランは、どのようになっていますか。

「箱根駅伝を目指すというところで考えると、5000メートルで13分台、1万メートルで28分台のレベルに来ないと箱根では戦えないのを選手は認識していますので、夏までにそのレベルに近づくというところに取り組んでいきます。その後、夏合宿では距離を踏んでいくという流れです」

――夏に限らず、距離を踏むというのは創価大の練習のポイントの1つですね。

「箱根に出場できなかった頃、その原因を私なりにいろいろ分析したんです。そこで見えてきたのが絶対的に走る量が足りないということでした。箱根はハーフマラソンの距離ですし、予選会もハーフを走り切る力が必要になってきます。そのために距離を踏むことの重要性を選手たちに説明し、理解してもらいました。

 月間750キロを走るのを目標に、最初に始めたのがジョグの量を増やすことでした。距離を増やすには一番手っ取り早い方法ですし、選手にもストレスがかからない。最初の頃は40名いて、朝のグループ走(4分/キロ)には10名しか参加できなかったのですが、今は41名いて故障者以外はほぼ全員、グループ走で12キロを走っています」

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榎木 和貴

創価大 陸上競技部 駅伝部監督 
1974年6月7日生まれ、宮崎県出身。現役時代は箱根駅伝で史上7人目となる4年連続区間賞獲得など、中央大の主力として活躍。3年時の96年大会では4区を走り、32年ぶり14回目の総合優勝に貢献した。卒業後は旭化成に進み、2000年の別府大分毎日マラソンでは2時間10分44秒で優勝。その後は負傷にも苦しみながら沖電気、トヨタ紡織で指導者としての実績も積み上げると、19年に創価大駅伝部の監督に就任した。21年の箱根駅伝で往路優勝、総合2位とチームを過去最高成績へと押し上げる。今季も出雲駅伝2位、全日本大学駅伝6位と上位争いを演じている。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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