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箱根駅伝を走る基準は「月間750キロ」走破 創価大・榎木和貴監督が説く“距離を踏む”重要性

今年度の大学駅伝シーズンも佳境を迎え、毎年1月2日と3日に行われる正月の風物詩、箱根駅伝の開催が近づいている。前回大会王者で今季も10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝を制し、史上初の2年連続3冠を狙う駒澤大を止めるのはどこか――。「THE ANSWER」では、勢いに乗る“ダークホース校”の監督に注目。今回は出雲2位、全日本6位と今シーズンの大学駅伝で好成績を残している創価大の榎木和貴監督に、独自の指導論について聞く。箱根駅伝で安定した結果を残すには、何よりも「距離を踏む」ことが重要だと語る指揮官。月間750キロを目標に日々走ることを選手に求め続けてきた中で、就任した5年前からのチームとしての成長を感じているという。(取材・文=佐藤 俊)

月間750キロを目標に日々トレーニングをする創価大の選手たち。記録の向上につながっているという【写真:創価大学】
月間750キロを目標に日々トレーニングをする創価大の選手たち。記録の向上につながっているという【写真:創価大学】

箱根駅伝「ダークホース校の指導論」、創価大学・榎木和貴監督インタビュー第4回

 今年度の大学駅伝シーズンも佳境を迎え、毎年1月2日と3日に行われる正月の風物詩、箱根駅伝の開催が近づいている。前回大会王者で今季も10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝を制し、史上初の2年連続3冠を狙う駒澤大を止めるのはどこか――。「THE ANSWER」では、勢いに乗る“ダークホース校”の監督に注目。今回は出雲2位、全日本6位と今シーズンの大学駅伝で好成績を残している創価大の榎木和貴監督に、独自の指導論について聞く。箱根駅伝で安定した結果を残すには、何よりも「距離を踏む」ことが重要だと語る指揮官。月間750キロを目標に日々走ることを選手に求め続けてきた中で、就任した5年前からのチームとしての成長を感じているという。(取材・文=佐藤 俊)

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 いわゆる弱小と言われるチームは、全体主義で強化していったほうが集団全体をより早く一定のレベルにまで押し上げることができる。ただ、そのやり方では突出した選手は生まれにくく、落ちこぼれる選手が出てくることも多い。2021年に箱根駅伝で総合2位と躍進して以来、安定した成績を残している創価大は、プログラミングされた練習メニューを軸にどのように強化を進めているのだろうか。

――創価大は今、どのように練習を進めているのでしょうか。

「学生と面談をしながらレベルに応じて、グループ分けをしています。最初は実力主義的なグループ分けをしていたのですが、今はロード、トラック、故障者の3つのグループに分けています。3つのグループを私とコーチ2名で見ていて、3か月に1回、ローテーションをしています。新たに作った故障者のグループは今年作ったのですが、怪我をするとどうしてもチームから置いていかれてしまいます。そこでしっかりとコミュニケーションを取って、モチベーションを上げたり、練習に戻って来た時にメニューを立てています。そうすることでスムーズな復帰が可能になったので、チームにとってはかなり大きいですね」

――グループ内ではタイム差があると思うのですが、全員一緒に練習するのでしょうか。

「同じ試合に向かっていくのであれば、ロード、トラック問わずに同じ方向性の練習をこなしていきます。そこではタイム設定で分かれるので、だいたい5、6人で動く感じになりますが、常に柔軟に対応できるようにしています。普段の生活では、縦割り班という1年から4年まで5、6人のグループを作りました。学年間のいろんな情報を共有して、モチベーションが落ちないように常に選手同士が声をかけ合いながら強くなっていくのを目指しており、ようやくそのシステムが確立できてきました」

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榎木 和貴

創価大 陸上競技部 駅伝部監督 
1974年6月7日生まれ、宮崎県出身。現役時代は箱根駅伝で史上7人目となる4年連続区間賞獲得など、中央大の主力として活躍。3年時の96年大会では4区を走り、32年ぶり14回目の総合優勝に貢献した。卒業後は旭化成に進み、2000年の別府大分毎日マラソンでは2時間10分44秒で優勝。その後は負傷にも苦しみながら沖電気、トヨタ紡織で指導者としての実績も積み上げると、19年に創価大駅伝部の監督に就任した。21年の箱根駅伝で往路優勝、総合2位とチームを過去最高成績へと押し上げる。今季も出雲駅伝2位、全日本大学駅伝6位と上位争いを演じている。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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