箱根駅伝で栄光と挫折を経験 城西大・櫛部静二監督、寄り添う指導の裏にある「引きずった」過去
心理カウンセリングを受け「走りに打ち込めるようになった」
――コミュニケーションを一番重視されているのは、何かきっかけがあったのでしょうか。
「僕は早大を卒業し、実業団のエスビー食品に入社したんですけど、自分の思い通りにいかなくて悶々としていました。大学1年の箱根で失敗し、3年の時に箱根で区間賞を獲って総合優勝した時、リベンジに成功して素晴らしいみたいに言われたんですけど、僕自身は1年の時の失速をけっこう引きずっていました。そのせいで実業団に入っても上手くいかなくて、かなり悩んでいたんです」
――その後、どのように対応されたのでしょうか。
「早稲田の文学部に心理学の先生がいたんです。求められているのにその期待に応えられない、自分の思った通りに上手くいかない。その結果、競技やレースに大きな影響が出ていたので、自分の負の遺産という心理的なものを改善しないと良くならないと思って、その先生の心理カウンセリングを受けたんです。
最初は半信半疑だったのですが、先生と話をするだけで気持ちが楽になりました。先生に自分の悩みや考えていることを話すのがすごく楽しくて、練習への意欲も戻って、走りに打ち込めるようになったんです。そういう経験から僕はカウンセラーではないですけど、学生たちと向き合ってコミュニケーションを取ること、話をすること、聞くことを重視しています」
(佐藤 俊 / Shun Sato)