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箱根駅伝で栄光と挫折を経験 城西大・櫛部静二監督、寄り添う指導の裏にある「引きずった」過去

寮で選手と一緒に生活「挨拶一つで調子の良し悪しが分かる」

――寮にいないと、十分にコミュニケーションが取れないのですね。

「うちは学生の数が多いですし、練習だけだと全員と触れ合うことが難しい。寮だと、いろんな学生の表情が見られますし、生活面からいろんな情報を得るというのは実は競技レベルを高める上でもすごく重要なんです」

――生活面での厳しさ、安定がないと競技レベルも上がらないと言われます。

「まさに、そうだと思います。日頃から見ていると彼らの挨拶一つだけでも、調子の良し悪しが分かるようになります。ちょっと元気ないなと思った学生に声をかけることで、練習での姿勢が変わったりします。僕にとっては、競技面だけではなく、普段から学生の調子を把握する、学生の調子の変化を知るための気づきでもあるので、そこは寮にいることの大きなメリットだと思っています」

――寮や練習中に声を荒げることはありますか。

「もともと、そんなに怒るタイプではないですし、今は学生の競技への意識が高くなっているので、怒ることはほとんどないですね。日々のルーティンは言われなくてもやっていますし、あとはジョグの際にできるだけ長い距離を踏もうとか、怪我予防のためにセルフケアをきちんとしようとか、そういうのは時々言うようにしています。慣れてくると適当にやりがちなので」

――駅伝で結果が出て、チーム状態が良くなるにつれ、寮での学生の生活面で目に見えての変化はありましたか。

「駅伝や個人でも結果が出るようになってからは、競技に対する意欲や意識が高くなっています。その1つの表れとしては、リカバリーを大事にするようになりました。特に睡眠の重要性ですね。うちは消灯が午後10時なんですけど、以前はその時間になってもパラパラと灯がついている部屋があったんです。言ってもなかなか直らなかったんですけど、今は消灯時間にはすべて電気が消えています。寝ているかどうかは分からないですけどね(笑)」

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櫛部 静二

城西大 男子駅伝部監督 
1971年11月11日生まれ、山口県出身。城西大経営学部マネジメント総合学科教授。早稲田大1年時から主力として活躍し、箱根駅伝では2区に抜擢されるが、体調不良により後半失速するアクシデントに見舞われる。3年時には1区区間賞の快走で総合優勝に貢献するなど、箱根駅伝を4度走った。卒業後はエスビー食品に入社。実業団選手として活躍したが、2001年に競技を続けながら創部したばかりの城西大駅伝部のコーチに就任、09年から監督となった。10年と12年の箱根駅伝では過去最高の総合6位に導いた一方、個を伸ばす指導を心がけており、16年リオデジャネイロ五輪で5000メートルと1万メートルに出場した村山紘太、21年東京五輪3000メートル障害の山口浩勢らを育てた。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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