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箱根駅伝で栄光と挫折を経験 城西大・櫛部静二監督、寄り添う指導の裏にある「引きずった」過去

心理カウンセリングを受け「走りに打ち込めるようになった」

――コミュニケーションを一番重視されているのは、何かきっかけがあったのでしょうか。

「僕は早大を卒業し、実業団のエスビー食品に入社したんですけど、自分の思い通りにいかなくて悶々としていました。大学1年の箱根で失敗し、3年の時に箱根で区間賞を獲って総合優勝した時、リベンジに成功して素晴らしいみたいに言われたんですけど、僕自身は1年の時の失速をけっこう引きずっていました。そのせいで実業団に入っても上手くいかなくて、かなり悩んでいたんです」

――その後、どのように対応されたのでしょうか。

「早稲田の文学部に心理学の先生がいたんです。求められているのにその期待に応えられない、自分の思った通りに上手くいかない。その結果、競技やレースに大きな影響が出ていたので、自分の負の遺産という心理的なものを改善しないと良くならないと思って、その先生の心理カウンセリングを受けたんです。

 最初は半信半疑だったのですが、先生と話をするだけで気持ちが楽になりました。先生に自分の悩みや考えていることを話すのがすごく楽しくて、練習への意欲も戻って、走りに打ち込めるようになったんです。そういう経験から僕はカウンセラーではないですけど、学生たちと向き合ってコミュニケーションを取ること、話をすること、聞くことを重視しています」

(佐藤 俊 / Shun Sato)

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櫛部 静二

城西大 男子駅伝部監督 
1971年11月11日生まれ、山口県出身。城西大経営学部マネジメント総合学科教授。早稲田大1年時から主力として活躍し、箱根駅伝では2区に抜擢されるが、体調不良により後半失速するアクシデントに見舞われる。3年時には1区区間賞の快走で総合優勝に貢献するなど、箱根駅伝を4度走った。卒業後はエスビー食品に入社。実業団選手として活躍したが、2001年に競技を続けながら創部したばかりの城西大駅伝部のコーチに就任、09年から監督となった。10年と12年の箱根駅伝では過去最高の総合6位に導いた一方、個を伸ばす指導を心がけており、16年リオデジャネイロ五輪で5000メートルと1万メートルに出場した村山紘太、21年東京五輪3000メートル障害の山口浩勢らを育てた。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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