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「指導者が口を挟まない」リーグ戦を計画 部員減る高校ラグビー、強豪監督が描く未来

ラグビーが「手段にならないようにしたい」

「聖光学院は国際的な活動にも積極的な学校です。でも、金持ちの欧米の国だけ知っていてもしようがない。将来アメリカに行こうがイギリスに行こうが、ただ、部族というものがあって、こういう人たちがいて、カースト制の一番下でスラム街の子たちはこうだと、本とかテレビで知るだけではなくて、自分がその場に立って、感じたものを知った上で交際交流したら全然違うものになる。世界の本当の、知っているけれど目を向けないようにしていることを見て、感じてほしいと思ってインドを選びました」

 JICAの海外協力隊は20歳以上が対象のために、高校生の参加はできない。そのため静岡聖光学院のメンバーも、自己負担の上でJICAにサポートを受けながらの活動になる。そのなかで、自分たち独自の活動として、貧困層の子供たちとの交流も準備を進める。

 最後に、部活の責任者として、2シーズン目の新たな取り組みも聞いてみた。

「せっかくラグビーが好きで、楽しみたいような子たちが集まっているので、ラグビーが手段にならないようにしたいですね。花園って手段ですから、そこはぶらさないようにしたい。そして組織としてどうありたいかを、しっかりマネジメントしていきたい。それって組織の話のようで、結局、1対1の対話が重要ですから。そこは、ある先輩からも言われて、今まで怠ってきたという気持ちがある。もっと1対1に時間とエネルギーを割いて、丁寧に、深くやる。ワンオンワンの対話がなくなったら、何にもならないですから」

 この日も、練習が終わり帰途に就く生徒に混じって、帰りの新幹線に間に合うために大急ぎでスクーターに跨ったゴロー先生。時短部活を謳うチームだが、勝って、楽しい部活の実現に向けて時間に余裕はない。

【前編】週6時間練習だけでは「絶対勝てない」 異色のラグビー監督、時短部活で花園挑戦の1年

【中編】新時代の“部活の在り方”とは? 異色の高校ラグビー監督、楽しさとは異なる価値の追求

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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