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便箋4、5枚で「お前なんて早く引退しろ」 鈴木明子が考える誹謗中傷からの心の守り方

今は「私を嫌いな人がいても当たり前」と明るくとらえるようになった鈴木さん【写真:松橋晶子】
今は「私を嫌いな人がいても当たり前」と明るくとらえるようになった鈴木さん【写真:松橋晶子】

選手はアスリートである前に人間、たった一言が心に深く刺さる人もいる

 今では「世の中には私のことを好きな人、嫌いな人、興味のない人がいて当たり前」と思えるようになりました。

 でもこれは、競技選手、プロスケーターとして長くスケートを続けるなか、大人になっていったから受け止められること。まだ10代の選手が、SNSなどでふと自分に対するマイナスの言葉を見つけてしまったら、すごく傷つきますし、受け止めきれないと思います。

 選手たちはたとえ何百の励ましの言葉に溢れていたとしても、たった一通のバッシングの手紙を見ただけで、メンタルはガタガタと崩れてしまいます。しかも、以前なら、わざわざ文字を書き、住所書き、切手張ってポストに手紙を投函するまでしないと、選手に言葉は届かなかった。

 ところが今は、スマホでちゃちゃっと書き込むだけで、さらに匿名でコメントできる。手間がかからないからこそ、深く考えず、誹謗中傷の言葉を書き込まれることが増えたのではないでしょうか。

 選手はアスリートである前に、人間です。「アスリートだから何をいっても大丈夫」とか「メンタルも最強」という前提で言葉を発しないでほしい。周囲の声を気にしない人もいれば、たった一言が心に深く刺さる人もいます。

 アスリートのなかには私のように、弱さと向き合いながら競技を続ける選手もいます。誹謗中傷までいかなくとも、例えば「あの選手にこの演技は似合わない」「あの点数はどうなのか」など、何気なく発した言葉に傷つくかもしれません。人に対し言葉を発するのであれば、やっぱりそのことを一人ひとりが自覚するべきだと考えます。これはもちろん、選手も含めてです。

 また選手側も、周囲の声が気になってもエゴサーチはしないなど、不要な情報を遮断する勇気を持つこと。本当に向き合うべき言葉は何かを考えることが、大事だと考えます。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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鈴木 明子

THE ANSWERスペシャリスト プロフィギュアスケーター

1985年3月28日生まれ。愛知県出身。6歳からスケートを始め、00年に15歳で初出場した全日本選手権で4位に入り、脚光を浴びる。東北福祉大入学後に摂食障害を患い、03-04年シーズンは休養。翌シーズンに復帰後は09年全日本選手権2位となり、24歳で初の表彰台。10年バンクーバー五輪8位入賞。以降、12年世界選手権3位、13年全日本選手権優勝などの実績を残し、14年ソチ五輪で2大会連続8位入賞。同年の世界選手権を最後に29歳で現役引退した。現在はプロフィギュアスケーターとして活躍する傍ら、全国で講演活動も行う。

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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