コーチが注意すべき「must」と「should」の使い方 理不尽な言葉が選手に及ぼす悪影響
リバプールの伝説的な逆転劇を導いたのは、頂上決戦ならではの劇薬的な処方箋
リバプールには伝説的な試合がある。2004-05シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ決勝で、前半に3失点をして絶望的な状況に追い込まれた。だがロッカールームには、サポーターが声を合わせる「You’ll never walk alone」と、すでに勝利を確信して沸き上がるACミランの選手たちの歓喜に満ちた声が響いてきた。
それがリバプールの選手たちの反骨心に火をつけ、ラファエル・ベニテス監督は戦術変更をすると鼓舞して送り出す。そこからシナリオは一変し、リバプールは3点差を跳ね返し、PK戦の末に優勝を飾る。だがこれは、頂上決戦の特殊な事情ならではの劇薬的な処方箋だ。当然リーグ戦などで「継続的な効果を期待するのは難しい」ということになる。
(第4回へ続く)
[プロフィール]
塚本修太(つかもと・しゅうた)
1997年6月21日生まれ、茨城県出身。幼少期からサッカーを始め、小、中学校は地元のチームに所属したが高校は名門・前橋育英高校サッカー部に進学。度重なる怪我で高校2年の夏に中退したのち、サッカー指導者を目指すためにイギリスのソレント大学のフットボール学部に進学。サッカーを学問として勉強するなか、FAの心理学ライセンスはレベル5まであるなかで日本人で初めてレベル4まで取得。その他にもスカウト、分析、フィジカル、コーチングの資格を取得。コーチをしていた育成年代のチームは2年連続その地域での年間優秀チームに。昨年は小林祐希(ワースラント=ベフェレン)の個人分析官を担当した。
(加部 究 / Kiwamu Kabe)