全国大会で選手2割が出場ゼロ サッカーU-11リーグ創設者の危機感「こんなこと許されない」
「世界中の指導者は苦しみながら、二律背反することを続けている」
実際、昨年のチビリンピック関東大会を制した鹿島アントラーズ・ジュニアの小谷野稔弘監督は「3ピリオド制で全員試合に出すことが、結果的にチーム力向上につながった」と語っていたという。幸野が力説する。
「チームの全員を楽しませ、成長させながら勝つ。世界中の指導者は苦しみながらも、一見二律背反することを続けているんです。レギュラーしか使わない日本の指導者は楽過ぎる」
一昨年、鹿児島で行われた全日本少年サッカー大会で、約5分の1の選手たちが一度もピッチに立たなかった。
「JFAのテクニカルレポートに記されたので、僕は『こんなことは許されない』と声を挙げた。でも『おかしい』と言ったのは僕だけ。もし参加者全員が同じように声を挙げれば、変わったはずなんです」
忸怩たる想いが滲み出ていた。(文中敬称略)
[プロフィール]
幸野健一(こうの・けんいち)
1961年9月25日生まれ。7歳よりサッカーを始め、17歳の時にイングランドへ渡りプレーした。現在は育成を中心にサッカーに関わる課題解決をはかる「サッカー・コンサルタント」として活動。2014年に「アーセナルサッカースクール市川」を開校させ、代表に就任。19年に「FC市川GUNNERS」にチーム名変更、20年3月から業務提携した市川SCのGMに就任した。息子の志有人はJFAアカデミー福島1期生のプロサッカー選手で、09年U-17W杯に出場した。
(加部 究 / Kiwamu Kabe)