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陸上部のない中学で全国1位に 農道を一人走り込み、長崎の離島から夢叶えたランナー川原琉人の夏

川原は学校が募集してくれた寄付金でインターハイ出場の夢を叶えた【写真:荒川祐史】
川原は学校が募集してくれた寄付金でインターハイ出場の夢を叶えた【写真:荒川祐史】

費用面でインターハイ出場危機 学校が募集してれた寄付金に感謝

 陸上部は5人で長距離は1人だけ。指導者もおらず、今も祖父と相談しながら練習メニューは自分で考える。「中学時代も同じ環境だったので」。厳しい環境は覚悟の上のこと。練習は基本1人。午前5時半から朝練を始め、放課後は一度帰宅して、山と畑に覆われた近所の農道や土のグラウンドを走り込む。

 県の大会に出るにはフェリーなら3、4時間かけて本土に渡らなければならない。さまざまなハンデを乗り越え、掴んだインターハイ。「学校を移ったおかげで、インターハイに出場できているので、今になったら転校してきて良かったです」

 ただ、困難はさらに立ちはだかった。北海道で行われるインターハイの出場は費用面で厳しい状態。そこで、今後の国体出場などを含めた費用として学校が寄付金を募集してくれた。地元の島民や同級生の保護者らから50万円が大会1週間前までに集まり、スタートラインに立った。

「寄付がなかったら、出場は難しかったです」と川原は打ち明ける。「周りからこんなに応援されると改めて実感できたし、感謝の気持ちを込めて全力で戦うと思って来た。あとは(4日予選の)5000メートルの1種目だけだけど、なんとしても決勝に上がりたいです」

 悩んで選んだ転校という選択。もちろん、苦しさもあった。でも、その苦しさの中だから見えた景色もある。選んだ道は自分で正解に変えればいい。

 卒業後は関東の強豪私大に進学し、箱根駅伝出場を目指す。憧れのランナーは三浦龍司。「福江島は凄く好きです。車通りが少ないので、ウォーキングも景色を楽しみながらできるのが良いところ」という愛する小さな島を飛び出した先に、大きな夢を見ている。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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