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関西の強豪女子陸上部内にある9つの“部” 「メルカリ部」「園芸部」…異色の“部活内部活”が生み出すメリットとは――園田学園大陸上部

9つの“部”には2009年に陸上競技部を創設した藤川監督の思いが込められている【写真:中戸川知世】
9つの“部”には2009年に陸上競技部を創設した藤川監督の思いが込められている【写真:中戸川知世】

2009年に陸上競技部を創設、藤川監督の思い

 27年間、園田学園高の教員を務め、陸上競技部の顧問を担当した藤川監督。2009年に園田学園大(当時は園田学園女子大)の陸上競技部を創設した。高校で実績があり、スポーツ推薦などで強豪校に進学できる選手がいる一方で、競技続行が困難な選手もいる。「誰でも陸上を続けられるように」――。そんな思いで立ち上げた部は16年が経った今、総勢100名の部員を誇る強豪校に成長した。長年、教育の場に身を置いてきたからこそ感じることがある。

「大学生になると学級委員や給食当番、掃除当番など、小中高でやってきた習慣がなくなる。これまでやってきたことを全くやらなくなるのが大学生なんですよ。だからそういうことを『忘れたらあかん』って伝えている」

 競技力の向上はもちろん大事。その中で学生としての人間性を高めることも忘れない。そうして5年前に始めたのがこの活動だった。当初は藤川監督が“部”の項目を提案したが、今では部員が新たな“部”を創設するなど、主体的に活動している。

「集団の中では何か自分の役割を持たせたいじゃないですか。せっかく部活に入っているなら、陸上以外の何かで部に貢献できるように。今は人とあまり話さない子が多い。こういった活動を行う中で喧嘩することもあるけど、人間性を高めていることは確かなので」

 一方で、新しい取り組みを行う中では大人の目も不可欠。特にSNSを利用して日々の活動を発信することは、不特定多数の目に触れることから危険も潜む。「ブルマの写真にはものすごく『いいね』がつく」と実態を明かし、ユニホームの写真はぼかし加工を入れるなどリスク管理を徹底している。

 大学で過ごす4年間は、社会に出る前の大事な時期。生かすも殺すも自分たち次第だ。陸上部の学生も多くが大学で競技に区切りをつけ、一般就職する。「社会に出た時には人とコミュニケーションをちゃんと取れて、最低限の気配りができるようになってほしい」と藤川監督。競技力を伸ばすことだけが部活ではない。園田学園大学陸上部で培った4年間の経験は、長く続くこの先の人生に生きていく。

(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)

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