女子選手のユニホーム写真にはリスクも…園田学園大は性的な悪用対策を徹底

　今大会女子4×400メートルリレーなどを制した関西の強豪・園田学園大（兵庫）もSNSを活用している。部内に「SNS部」という担当チームが存在し、4人のメンバーが運用。OGやスポンサーなど、活動を応援してくれる人たちに向けた発信が目的の一つ。大会期間中にはXやインスタグラムのストーリーズで結果を速報するなど、忙しく活動している。

　SNS発信のメリットが目立つ一方で、同部のアカウントで印象的だったのが写真加工。ユニホーム姿の写真は、肌の露出部分にぼかしの処理を加えるなど、ひと工夫されていた。

　陸上競技では「動きやすい」「可動域が広がる」などの理由でセパレートのユニホームを着用する女子選手が多い。ただ、肌の露出が多くなるため、盗撮被害などが度々問題となり、現在は大会期間中に係員が巡回するなど、対策が徹底されている。近年は安全な環境が整いつつあるが、拡散力が強く、どんな人の目に触れるかわからないSNSは性的な悪用を含めたリスクをはらんでいる。

　指導する藤川浩喜監督は「ブルマの写真にはものすごく『いいね』がつく」と実態を明かし、危機感を覚える。SNS部の中村咲心（4年）も「先生にも言われているし、自分たちでも気を付けている」とリスク管理が徹底されていた。今後、さらにSNS活用が各校に広がる可能性があるが、こうしたSNSの現実も運用で認識すべき要素になるだろう。

　目的が特徴的だったのが関東の伝統校・東京学芸大（東京）。女子投てきブロックでは「投擲女子」というインスタグラムのアカウントを運用している。目的は「広報活動」ではなく「自分たちの活動のため」。ハンマー、やり、砲丸、円盤を扱う投てき種目では、危険を伴うケースがあるため、練習場所が限られたり、専門的な知識を持つ指導者がいなかったりと練習環境に苦労することが多いという。

　そこで23年6月にアカウントを作成。主に練習動画を中心に投稿している。現在のフォロワーは308人（20日時点）ながら多くの収穫があった。指導経験のある人からDMでアドバイスが届いたり、大会関係者から「直接言えなかったけど……」と後から助言が送られてきたりすることも。反対に高校生から「教えてください」とメッセージが届き、LINEを交換して指導したこともあるという。

　インスタグラムの開設者の1人であるハンマー投げの早乙女南月（4年）は「正直、フォロワー300人でも『見てもらう』という面では達成できていると思っている」と思いを明かす。ただ、「投稿の保存数は増えるけど、アクションに繋がることが少ない。『一緒に投げたいです』とかもっとラフなアカウントにしたい。SNSを見て、入部してくれる人が増えたらいいな」と更なる発展に期待を寄せた。

　変わる令和の部活動。それぞれの大学が異なる目的を持って運用するSNSもその一例だ。リスク管理をしっかりと行い、上手に活用することで、部の運営で貴重な役割を果たす。部員確保や競技力の向上、コミュニティの形成など、SNSは大きな可能性を秘めている。