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WBCの熱狂の裏で中学軟式野球に迫る危機 10年で部員数が半減、少子化だけではない要因

近年加速する日本の少子化は様々な社会問題を引き起こす要因であり、その対策は急務なものとして活発に議論されているが、部活動の現場に目を向ければ影響はすでに形となって表れている。部員が集まらずにチームを組めない、部活動自体が消滅し子供たちが幼少期から親しんだ競技を続けることができない――。教育現場や各スポーツ団体で大きな変革が求められている今、様々なアイデアで部活動の“新たなカタチ”を模索する動きを追う連載「少子化とブカツの未来」。今回は中学生年代の軟式野球部の競技人口減少を受けて、埼玉県川口市で発足した「川口市野球人口増加プロジェクト」と、越谷市で動き出した『野球の街越谷』実行委員会の取り組みを紹介する。(取材・文=河野 正)

「野球フェスタ川口」で市内の中高生に指導され、初体験の野球を楽しむ子供たち【写真:河野正】
「野球フェスタ川口」で市内の中高生に指導され、初体験の野球を楽しむ子供たち【写真:河野正】

連載「少子化とブカツの未来」、埼玉県川口市&越谷市・前編

 近年加速する日本の少子化は様々な社会問題を引き起こす要因であり、その対策は急務なものとして活発に議論されているが、部活動の現場に目を向ければ影響はすでに形となって表れている。部員が集まらずにチームを組めない、部活動自体が消滅し子供たちが幼少期から親しんだ競技を続けることができない――。教育現場や各スポーツ団体で大きな変革が求められている今、様々なアイデアで部活動の“新たなカタチ”を模索する動きを追う連載「少子化とブカツの未来」。今回は中学生年代の軟式野球部の競技人口減少を受けて、埼玉県川口市で発足した「川口市野球人口増加プロジェクト」と、越谷市で動き出した『野球の街越谷』実行委員会の取り組みを紹介する。(取材・文=河野 正)

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 今も昔も日本のスポーツメディアはプロ野球をトップニュースで扱い、プロ選手を夢見たかつての少年たちは広場や公園でキャッチボールに明け暮れたものだ。野球が当代きっての花形スポーツであることは今も変わらないが、小中学生の競技者は年々減少するばかりで歯止めがかからない。これに危機感を募らせた中学教師が、未経験の児童に野球の魅力を伝えようと奮闘している。

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本代表が3大会ぶり3度目の優勝を飾った。東京ドームでの日本戦は、5試合とも4万人を超える観衆が集まり、テレビも高視聴率を記録。ビデオリサーチの調査(速報値)によると、関東地区の平均世帯視聴率は米国との決勝が42.4%で、準決勝のメキシコ戦が42.5%、準々決勝のイタリア戦が48.0%など軒並み好調だった。

 宮崎市での事前合宿には、連日のように2万人前後のファンが集まり門前市をなした。物販や飲食をはじめ、宿泊施設も歓楽街も観光地も大変な盛況ぶりで、プロ野球人気の高さを強烈に印象づけた。

 プロ野球と高校野球の熱心なファンが日本中に存在する一方で、野球に没頭する小中学生はめっきり少なくなった。少年の野球離れが深刻化して久しい。

 日本中学校体育連盟が2022年12月に公表した部活動数調査によると、男子の軟式野球加盟校数は47都道府県で7964校と全競技で最多。ところが加盟生徒数を見るとバスケットボール、サッカー、卓球に次いで4番目の13万7384人となり、合同部活動実施チーム数ではサッカーの2倍近い889もあった。部の数は多いのに、所属する部員が少ないことがよく分かる。

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