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沖縄でフィギュアスケートを愛する医学部生 たった1人で国立大学に部活を創設した理由

渡邉さんの誘いで入部した黒田尚希さん【写真:琉球大フィギュアスケート部提供】
渡邉さんの誘いで入部した黒田尚希さん【写真:琉球大フィギュアスケート部提供】

琉球大を選び“ひとりの部活”を避けた理由とは

「受けるなら地方、という状況でした。リンクがあるところ自体あまりないし、佐賀などから福岡に通うことも出来たかもしれないけれど、練習頻度が落ちるので。九州だと福岡以外なら、自分の思うように練習ができるのは沖縄だけでした」

 両親を説得し、琉球大医学部に合格した渡邉さんは、入学後に早速フィギュア部創設のため動いた。大学の部活動として登録しなければ、出場できない大会も出てくるからだ。無事に18年5月に認定され、活動をスタート。1人でも部としては成り立つため、部員を集めず活動する選択肢もあったが、渡邉さんは勧誘で声をかけ続けた。

「確かに“自分ひとりの部活”みたいな形もあると聞いたことはあります。部員を集めて一緒にやりたいなと思ったのは、リンクがある地域の国立大は、初心者の人でも始められる部活として盛んだと聞いていたからなんです。それに憧れがあって、声をかけていました。

 沖縄は競技人口が少ない分、リンクでの練習はやりやすいですが、競争相手やライバルがなかなか身近にいません。自分が沖縄のフィギュア界に貢献できることは、部活として盛り上げて、競技人口を増やすことかなと思っていました」

 渡邉さんの誘いを受け、創部間もない時期に入部したのが、同じ医学部の同級生・黒田尚希さん。フィギュアスケートは未経験だったが、今では2回転トウループも跳べるまで上達した。体験で、最初にリンク上で滑った時の記憶は忘れられない。

「最初は全然滑れなくて。同じ初心者でも、友達の方が滑れていた。でも、一緒にいた沖縄のクラブの子供たちを見て『こんなに滑れたら楽しいだろうな』『うまくなったらどんな感覚なんだろう』という興味が沸きました」

 転倒し、頭を強打したことも何度かある。未だに前向きに踏み込むアクセルジャンプには恐怖心も少なからずあるが、1年生の12月に「不格好な格好だったけれど」シングルアクセルに着氷。指導をしてくれていた渡邉さんとも、喜びを分かち合った。

 渡邉さんが沖縄に来て、改めて気付いたフィギュアスケートの魅力は「個人競技だけど、1人じゃない」ということ。

 県外で土日開催の試合に出場し、月曜日に医学部のテストを受けるというハードスケジュールも経験。2020年には新型コロナウイルスが猛威を振い、大会が次々と中止に。大好きなフィギュアスケートで、目標を失ってしまった時期もあった。

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