「卓球が好きな気持ちを忘れないで」 水谷隼が高校生の“夏の向こう”にエール
高校生に語った「練習に意味を持たせることが大事」の真意とは
「なぜかと考えたら、練習の質が凄く良かったことと、卓球について凄く熟知していたこと。どうしたら自分が強くなるかを一生懸命考えて、練習に励んでいたから強くなれた。ただ練習するだけじゃなく、練習に意味を持たせることが大事なんです」
高校時代は青森山田に在籍しながら、ドイツに留学。卓球の本場で武者修行を積んでいた。「日本とドイツの2つの練習法を知っていたので、いいところを取って練習していた。そこで周りと差がついたんじゃないか」と自己分析。一方で、日本の卓球界において「中高生の部活動はほとんどが同じ練習内容になってしまう」と課題も指摘し、自身の体験談を明かす。
「卓球は個人競技なので、一人一人が違うメニュー、練習法でやるべきだけど、性質上、練習時間も練習内容もみんな一緒になりがち。そういう中で、自分は先生が見ていないところで、一人で勝手に練習して自分に必要なことを上手くやっていました」
水谷が言った「練習に意味を持たせること」の本質は、ここにある。卓球という競技の特性を理解した上で、自分がどう行動すべきか。周りと同じ練習をしているだけでは、周りと同じだけしか伸びない。10代に培っていた“成長の秘訣”は、今の高校生にとって大切な言葉になった。他にも、質問コーナーでは参加者から活発に質問が挙がり、水谷が一つ一つに向き合った。
――コロナで大会がなくなり引退し、受験をしてまた大学で始めたいと思うけど、競技から6か月離れることになります。その時に、どんなことから始めればいいでしょうか?
「練習をしなければ上手くならないと言ったけど、卓球というのはボールを打つだけが練習じゃないんです。試合映像を見たり、家で筋トレをしたりもプラスになること。卓球の練習はできなかったとしても、家で自分にできることを継続してやっていけば、6か月後に再開しても前よりそんなに落ちていることはないと思います」
――日本や世界のトップになるような選手は他の選手とどんなところに違いがあると思いますか?
「一番大事なことは覚悟だと思います。自分は中2でドイツに留学することを決めたけど、普通はその年齢で一人でドイツに行こうと思えない。当時のブンデスリーガが世界最高峰のリーグと言われ、ジュニアナショナルチームのコーチがドイツの方だったので、留学すれば、その方の指導も受けられる。思い切ってドイツに行こうと決めた瞬間から、卓球に命を注ぐ覚悟を持ちました」